日銀2年目の金融政策正常化に必要な「3つの見直し」、判然としない利上げ理由Photo:Bloomberg/gettyimages

1月決定会合で0.25%、3回目の利上げ
政策金利は17年ぶり0.5%に

 日本銀行は1月23日~24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利(短期金利誘導目標)を昨年7月以来半年ぶりに0.25%ポイント引き上げ、0.5%とすることを決めた。

 今春闘でも高い賃上げが見込まれるなどとしており、政策金利はリーマンショック後の2008年10月以来、17年ぶりの水準だ。

 同時に日銀が公表した「経済・物価の展望」(展望レポート)では、賃金と物価、経済の好循環の動きは続いており、見通し期間の後半での物価目標達成の確度が高まったとの見方を示した。

 今回の決定会合に際しては金融市場が直前には利上げを織り込んでいたため、昨年7月の利上げ後のような金融市場の不安定化は生じていない。

 ただ、政策金利据え置きを決めた昨年12月の前回の決定会合で、植田和男総裁が状況をなお見極める必要がある理由に挙げた、今春闘の賃上げモメンタムの継続とトランプ新政権の政策の動向や影響については、この間にそれほど不確実性が低下したとはいえないようにも思う。このため、市場の一部では1月も利上げ据え置きの予想もあった。

 植田総裁は決定会合後の記者会見で、「今後展望レポートで示した経済、物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利引き上げをしていくことになる」と、金融政策正常化の見通しを語った。

 だがトランプ政策などの不確実性が高い中で2年目に入った金融政策の正常化をスムーズに進めるには、市場との認識の共有を含め、3つの点で見直しが必要だ。