日銀利上げは今後「半年ごと」?展望レポート発表に合わせた正攻法シナリオの“盲点”Photo:Bloomberg/gettyimages

政策金利0.5%へ追加利上げ
物価見通し実現の確度の高まり理由に

 日本銀行が1月23、24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート(翌日物)の誘導目標を0.5%程度に引き上げることを決めた。

 植田和男日銀総裁は、利上げを決定した理由として「展望レポート」(経済・物価情勢の展望)で示した経済・物価の見通しに沿って推移し、先行き、見通しが実現していく確度が高まっていることを最大の理由として挙げた。

 支店長会議での報告などから今年の春も昨年に続きしっかりとした賃上げの実施が見込まれ、さらに、賃金の上昇が続くもとで、人件費や物流費などの上昇を販売価格に反映する動きが広がってきており、「基調的な物価上昇率」が2%の「物価安定の目標」に向けて徐々に高まってきているとした。

 経済・物価見通しの実現の確度をもとに利上げを決定するという基本スタンスはこれまでと変わらないが、今回の利上げではそれがより明確になったと考えられる。

 今後も展望レポートの発表に合わせて、半年程度をめどに利上げをしていく姿が想定できそうだ。これをメインシナリオとすれば、政策金利は2025年度末には1%に達し、26~27年度には1%台半ばとも想定される中立金利に到達することが視野に入ってきそうだ。

 いわば日銀は、展望レポートを基本にした政策判断をするという正攻法のもとで金融政策の正常化を進める姿勢といえる。

 だが、「半年ごとに一度の利上げ」シナリオには“齟齬(そご)”が生まれる可能性がある。