27日に行われた“やり直し”会見は10時間超におよんだ27日に行われた“やり直し”会見は10時間超におよんだ Photo:SANKEI

「ついに『サザエさん』の提供が1社になった」――。中居正広氏のトラブルに関連して、フジテレビのスポンサー離脱が深刻化している。CMを差し止めた企業は20日までに75社に上ったという。これを「嫌疑不十分なのにやりすぎだ」と批判する声もあるが、それは誤りだ。なぜ、スポンサー企業がCM差し止めに至ったのか。考え方は非常にシンプルだ。(やさしいビジネススクール学長 中川功一)

スポンサー大量撤退は“やり過ぎ”なのか?
決定の裏にある考え方

 2025年は、フジテレビの存続が危ぶまれる大騒動から始まる1年となった。中居正広氏と女性とのトラブルに端を発するフジテレビの問題は、「スポンサーの大量離脱」という形でフジテレビに甚大な影響を及ぼしている。

 この騒動の中で、SNSなどでは、しばしば次のようなコメントが見受けられる。

「疑惑が確定せず、嫌疑が不十分である中でスポンサーが降りているのはおかしい」

「本件は示談が成立しており、当人同士で解決しているのに、それ以上に企業が責められるのはおかしい」

 実は、これらの主張は、スポンサー大量撤退の原因としては大きな誤りである。なぜ、かくも急に、フジテレビから各社が広告を撤退したのか。その理由を考えることは、企業経営についての知見を深めることにつながるだろう。

 なお、スポンサーの撤退は個社の判断であるから、究極的には何を判断材料として撤退/継続を決めたのかは個別ばらばらである。「示談が成立しているのだから当社としてはフジテレビに広告を出すことに抵抗はない」「嫌疑が確定するまでは今の取引を続ける」あるいは「今だからこそ広告を出せば目立つのでは」とするのも、個別のスポンサー企業の判断として誤りではない。

 その点に留意しつつ、おしなべて言えば、各社はフジテレビのどのような姿勢を見てスポンサーを降りたのかを、考えてみたい。なぜ、嫌疑不十分・当事者間では示談済みであるのに、フジテレビはまるで厳罰を食らったかのような扱いを受けなければならないのか。