第二に、会社は早い段階でトラブルを把握していたにもかかわらず、中居氏を起用し続けるなど、女性を守ろうとする姿勢に不十分さが指摘できたこと。社会的影響も大きい上場企業であることを鑑みれば、サステナビリティーの高い事業活動をしていないことから、取引相手として適切でないと見なされるのは妥当である。

 第三には、報じられたようにもし問題があったのなら完全にうみを出し切って健全な組織体へと改革をしていこうという、組織体としての健全さを示さなかったことである。硬い表現を使えば、「内部統制ができない会社」であることを露呈してしまった。

 17日の会見時点では、第三者を中心とした調査委員会を立ち上げるとしたものの、日弁連のガイドラインに基づく独立した第三者委員会とは異なる点が批判された。組織として本当に問題を深刻に捉えているのか、その姿勢には疑念を抱かざるを得なかった(その後、23日の臨時取締役会で第三者委員会を設置することが決定された)。

 自社が問題に関与したにせよ、していないにせよ、事実をつまびらかにし、同じようなことが起こらないようにするために毅然としたアクションをとる、という様子が社長から見られることはなかった。

 それはすなわち、今後も同じような問題が再発する恐れが強くあることを意味し、今後も社会に存続し、活動を続けていくゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)のあり方として極めて不適切なものだ。

 トヨタをはじめとする多数の従業員や取引先を抱えた大企業としては、自社にもダメージが及ぶリスクを今後も抱え込むことはしないだろう。

 かようなわけで、スポンサーが大量離脱しているのは「社会的制裁が下された」のではなく、「取引先としての信用が失墜した」ためなのである。

 したがって、調査の結果、もし問題への組織的な加担はなかったという結論になったとしても、抜本的な経営組織とガバナンス体制の改革が求められることになる。社長会見で露呈した、報道機関として、上場企業として、ゴーイング・コンサーンとしての問題が、それぞれに早急に解決が図られるようでなければ、再起はかなり難しくなる。

 問題への組織的な加担がなかったとしても、このままのフジテレビであり続けることは難しい。もちろん、組織的加担があったとなれば、もはや現行体制での活動は不可能である。