能町 家族も、結婚と同じように考えられますね。家族にいろんなものを乗せることで薄めていくこともできるし、家族っていうもの自体を解体していくこともできそう。

森山 まさしく、『家族、積みすぎた方舟―ポスト平等主義のフェミニズム法理論』(マーサ・アルバートソン・ファインマン著、上野千鶴子監訳、学陽書房、2003年)という本がありましたね。家族ってなんかよくわからないけど、本当にいろいろ積みすぎているんですよ。セックスやら子育てやら家事やら家計やら介護やら。

 その積み荷を下ろすのか、積み荷をどんどん乗せていって、もはやそれが家族という名前の舟であることに意味がないようにしていくっていうのもありえるのかなと思うんですけど。基本的に積んでいくほうが、しれっとできるからけっこう成功している、という印象があるかな。

能町 やっぱり「解体」って言うと、強く抵抗されそうですよね。積んでいくほうがバレない(笑)。その態度もちょっとクィア(編集部注:もとは男性同性愛者を侮蔑的に名指す語。既存の性のカテゴリに当てはまらない人々や考え方を指す言葉として使われるようになる)的な感じはします。

森山 しれっと積みながら、「両親と未婚の子供が生活を共にして、将来は結婚した子が親を介護して」みたいな「普通の家族」像を書き換えていくっていうのはありえると思います。