コスト効率が大幅に高い人工知能(AI)で米国の巨大企業に対抗する中国の新興企業ディープシークの成功によって、米国の制裁政策の無益さが浮き彫りとなった。バイデン前政権下の米政府は、国家安全保障の面で世界一手際が悪い社会主義者の一部に取り込まれたが、習近平国家主席率いる中国の民間セクターは世界で最も明敏な資本家の一部をうまく活用している。ディープシークの明らかに大きな成果の背後にいる起業家は梁文鋒氏だ。同氏は2015年にヘッジファンド「ハイフライヤー」を設立した。ディープシークは2年足らず前の創業以来、外部からの追加出資を一切受けていない。中国にいる技術者の数は米国の約9倍、理工系の大卒者数は恐らく15倍だ。つまり梁氏は、意のままになる技術系人材の宝庫を持っている。彼らは全員、エヌビディア製画像処理半導体(GPU)のメモリー帯域幅に米国が課している制限に違反することなくAIを作るという挑戦によって活気づいている。米国のAIデータセンターで使われている最先端GPUのような半導体は、ほぼ全て台湾積体電路製造(TSMC)が製造している。