トランプ大統領が「公約」通り
カナダ・メキシコ・中国に関税
トランプ第2次政権が1月20日に発足し、2週間が経とうとしている。トランプ大統領は就任初日、計26本の大統領令に署名するなど(注:4年前のバイデン氏は9本、8年前のトランプ氏は1本)、スタートダッシュを切っているように見受けられる。
米国第一主義を掲げるトランプ大統領の政策や振る舞いを理解する上でのキーワードの一つが関税であろう。大統領就任前から、不法移民やフェンタニルなどの薬物が米国に流入することを阻止するためという理由・名目で、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す立場を表明していた。
大統領就任後、トランプ氏がこれらの「公約」を実行するのかどうか、するとしたらいつどのタイミングなのかなどに関心が集まっていた。ふたを開けてみると、2月1日、トランプ大統領は公約実行を明言、本日(2月4日)から課税が開始される。
カナダとメキシコはすでに首脳レベルで強い反対と対抗措置を取る旨を表明している。カナダのトルドー首相は記者会見で米国からの輸入品に25%の関税を課すと語った。メキシコのシェインバウム大統領も自らのXにて、「メキシコの利益を守るため、関税と非関税を含む措置を実施するよう経済相に指示する」と強い言葉を放った。
中国政府の「トランプ関税」に対する
反応を巡る3つのポイント
中国は「トランプ関税」に対してどんな反応をしたのだろうか。筆者から見て、中国側の対応に関して、ポイントは3つある。
1つ目が、外交部、商務部、公安部という3つの政府機関がそれぞれの立場から声明を発表したこと。いずれも「強烈な不満」「断固とした反対」を表明した。
その上で、外交部は「貿易戦争、関税戦争に勝者はいない、米国のやり方はWTOの規則に違反し、自らの問題を解決できないだけでなく、米中双方、世界にとっても無益だ」という外交的な立場を主張。
商務部は、本件をWTOに提訴し、しかるべき措置を取った上で、自らの権利と利益を守るとし、また、公安部は、中国は麻薬禁止・撲滅の分野では世界で最も厳格で、その実践も最も徹底している国の一つだと、それぞれ主張した。