前進するために必要な
起業の地図を手に入れる

 先ほどのような「怖い」「自分には無理」という不安を解消するためには、「地図」や「ナビ」を手に入れることが一番簡単です。たとえオフロードであっても、進むべき方角が正しいと分かるだけで、心はずいぶん楽になります。

 では、起業においてその地図やナビはどうやって手に入れたらいいのか。

 それは、どんな人が、どんな道を進んできたのかを知ることです。つまり、成功も失敗も含めた先人たちの起業プロセスを知ることです。ただし、注意点が1つ。その際、有名起業家の自伝や武勇伝、成功エピソードは全く参考になりません。

 彼らの持つ資源――環境、能力、タイミング、知名度――全てが私たちと違いすぎるからです。

 重要なのは、身近で直接会話できる距離感にある人、そして「半年後の自分はこの人くらいかな」とイメージできるステージにいる人を参考にすることです。

 その上で気をつけなければならないのは、彼らの「ビジネスモデル」や「アウトプット」をそのまま真似したり、「やり方を教えてください」と気安く頼んだりしないことです。

 参考にするからといって、そのままコピペするなんてもっての外ですし、彼らにはあなたに教える義務などありません。彼らもまた、自分の道を試行錯誤しながら進んでいる最中なのです。

 丁寧にコミュニケーションを重ねていけば、ぽつりと体験を語ってくれる機会も訪れます。くだらないバカ話をするのも楽しいですが、もし起業家の先輩と話をする機会があったら、彼らの「ターニングポイント」に注目して話を聴いてみてください。彼らもきっと、挫折を経験しているはずです。

「起業で失敗する人」が気安く口にするNGワード『起業 神100則』(新井 一、総合法令出版)

 そして、その挫折の中で新しい人や知識と出会い、それをきっかけに行動を変えた結果として、今まさに成功に近づきつつあるはずです。

 彼らが何と出会い、どのように行動を変えたのか、そこから吸収できることはたくさんあります。

「失敗してしまうのではないか」とか、「起業は無理だ」と判断するのは、たくさんの地図を手に入れてからでも遅くはないと思います。