この世には、息を吐くように事業立ち上げを連発する、生まれながらの起業家とでも呼ぶしかない人々が存在する。若くて資金も乏しいにも関わらずビジネスを成功に導く彼らは、夢を止めようとする「真っ当な大人」の意見には決して耳を貸さなかったのだという。その理由はなぜなのか?「起業家精神」の本質について、アメリカのバブソン大学で教鞭をとる山川恭弘氏が語る。※本稿は、山川恭弘『バブソン大学で教えている 世界一のアントレプレナーシップ』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
資金や年齢は関係ない
生まれながらの起業家
10年以上、大学で起業道を、失敗学を教えていると、本当に数多くの学生、起業家に出会います。教え子でなくても、起業家、あるいは起業家の卵に会うことは日常茶飯事です。もちろん、さまざまな人がいます。大学に入る前にすでに起業している人もいれば、在学中に起業する人、それで失敗して再チャレンジの準備をしている人。本当にカラフルです。
その中には一定数、生まれながらの起業家:Natural-Born Entrepreneurとでも呼ぶしかない人もいます。息を吐くように事業立ち上げを連発する。一見すると、何も考えていないようにも見えます。「やりたいことがある」「叶えたい夢がある」、それを実現するために、「それができそうな会社に入って、出世して、権限を得て、実現する」よりも、起業したほうが早い、いや、起業しないと実現できない。そう「感じる」から、彼らは起業します。
よく、ティーンエイジャーで起業して話題になる人がいます。その人たちの中には、一定の割合で、「周りの大人に担ぎ上げられている人」がいます。一方で、一定の割合で、生まれながらの連続起業家もいます。彼らには年齢は関係ない。自分が学生であるだとか、手元に資金がないだとか、そういうことは関係ないのです。