社内のコミュニケーション写真はイメージです Photo:PIXTA

職場で顔を合わせることで、コミュニケーションを活性化し、アイデアが生まれる環境をつくりたいと考えるリーダーは多いだろう。一見正しそうに見えるこの考え方には、“落とし穴”がある。(山田進太郎D&I財団 COO 石倉秀明)

連載『「40代で戦力外」にならない!新・仕事の鉄則』をフォローすると最新記事の更新をメールでお知らせします。

リーダーが出社回帰に期待するワケ
コミュニケーションに課題

 米アマゾンやテスラなどグローバル企業がこぞってリモートワーク廃止や出社回帰に動いており、日本でもそれに追随する企業が出てきている(筆者はリモートワーク研究を行っており、実際のデータを見てみると、出社回帰の流れは見られないのだが今回はそのことは置いておく)。

 皆さんが働く企業でも、出社回帰やリモートワーク日数の削減などが行われているところがあるのではないだろうか。

 リモートワークについてはまだ賛否あるが、多くの調査などを見ていると、社員として働く側はリモートワークは賛成で継続を望んでいるのに対し、経営陣や管理職としては出社回帰、少なくともリモートワーク日数の削減を望んでいる場合が多いようだ。

 社員が望んでいるにも関わらず、経営陣や管理職が出社日数を増やそうとする理由の一つに「コミュニケーション」が挙げられる。

 コミュニケーションといってもさまざまあるが、一つには実務的な理由が挙げられるだろう。SlackやTeamsを利用してのテキストコミュニケーションだと伝えたいことが伝えられない、すぐに伝えたいのにテキストにすると時間がかかるなどもあれば、ウェブ会議で顔を出してくれない社員が多く、反応が分からないなどの場合もある。

 もう一つは、雑談やランチをしながらする業務外のコミュニケーションである。雑談やちょっとしたコミュニケーションはお互いの信頼関係を作ったり、創造的なアイデアが生まれたりするといわれており、この効果を期待してリモートワークから出社に戻したいと思っている経営者や管理職は少なくない印象だ。

 ただし、後者には実は欠けている視点がある。