北条政子に学ぶ！リーダーが部下を導くための「決断力」

「仕事が遅い部下がいてイライラする」「不本意な異動を命じられた」「かつての部下が上司になってしまった」――経営者、管理職、チームリーダー、アルバイトのバイトリーダーまで、組織を動かす立場の人間は、悩みが尽きない……。そんなときこそ頭がいい人は、「歴史」に解決策を求める。【人】【モノ】【お金】【情報】【目標】【健康】とテーマ別で、歴史上の人物の言葉をベースに、わかりやすく現代ビジネスの諸問題を解決する話題の書『リーダーは日本史に学べ』（ダイヤモンド社）は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、島津斉彬など、歴史上の人物26人の「成功と失敗の本質」を説く。「基本ストイックだが、酒だけはやめられなかった……」（上杉謙信）といったリアルな人間性にも迫りつつ、マネジメントに絶対活きる「歴史の教訓」を学ぶ。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。

北条政子の生涯と鎌倉幕府の確立

北条政子のプレゼンに学ぶ、合理的な選択肢の提示

　北条政子は武士たちの同情を引き寄せたうえで、京都の朝廷を討たないと以前と同じような重い負担を課されたり、官位も低くなったりすることを想起させました。

　このようにリーダーは自分たちが目指す先に、どんなメリットがあるのかを示し、合理的に判断できるように、わかりやすい選択肢を与えると効果的です。

経営方針発表会での活用

　これも先ほど触れた経営方針発表会での話ですが、発表する経営者には本題に入る前に、自社をとり巻く脅威や課題について触れることもおすすめしています。 なぜなら、「現状のままでは成長はもとより現状維持さえ難しくなる」という危機感を全社で共有するためです。

　市場規模の縮小や人手不足といったマクロな視点から、顧客ニーズの変化や競合の増加といった自社をとり巻く環境の変化について話すのです。

　そうした環境の変化を踏まえた事業の見直しや新規事業の立ち上げなど、自分たちが目指すべき経営方針を提示するのです。

　業種によっては、縮小する国内市場から海外市場へのシフト、顧客ニーズの変化にともなう商品・サービス構成の見直しといったことが考えられるでしょう。それが今後の成長につながることを部下たちが合理的に理解できて、共感を得られるのであれば、その実現に向けて主体的に力を注いでくれるようになりやすいです。

選択を迫ることで決意を固める

　北条政子はプレゼンの締めくくりとして、その場で武士たちに選択を迫りましたが、参加者の決意が揺らぐことを防ぐことも有効です。

　同じようにその場で選択を迫り、参加者の決意を固めた歴史的事例として、関ヶ原の戦いの前哨戦ともいえる軍議「小山評定」があります。

小山評定に学ぶ、即時の意思決定

　徳川家康と味方の諸大名は、敵対する会津（福島）の上杉景勝を討とうとして小山（栃木）まで行ったのですが、ここで石田三成が家康打倒を掲げて挙兵したことを知ります。

　そこで家康は諸大名に、「このまま上杉を討つべきか、反転し西へ上って石田を討つべきか」の意思決定をその場で迫ったのです。

　ここで石田を討つことで一致した家康と諸大名は、石田打倒を目指して西に向かい、最終的に関ヶ原の戦いで勝利したのです。

即時性の重要性

「鉄は熱いうちに打て」といわれるように、リーダーのプレゼンの直後に部下たちが新たなチャレンジでどのような貢献ができるのかを意思表明してもらう。

　この“即時性”が効果的で、私もコンサルタントとしておすすめしています。

　そして1年後にでも、部下が意思表明したことを実現できたかを人事評価する。そのようなサイクルで、組織の経営方針にコミットする姿勢が根づいてきます。

北条政子のスピーチに学ぶ、リーダーのプレゼンの本質

　リーダーのプレゼンを通じて、まずは感情面でひきつけ、合理的に進むべき道を選択できるようにして、部下たちが実行できるようにする。

　北条政子のスピーチには、現代でも活かせる学びがたくさんあります。

※本稿は『リーダーは日本史に学べ』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。