個人投資家の間で大きな支持を集めるベストセラー『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』、待望の続編『株トレ ファンダメンタルズ編』が話題だ。「この株は売り? それとも買い?」「どっちの株を買う?」投資シミュレーションの感覚でクイズを解くうちに株の知識が自然と身につく1冊だ。前作ではチャート分析がテーマだったが、今作では業績や財務の読み方をわかりやすく解説する。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では「チャート分析とファンダメンタルズ分析をどう使い分ければいいのか?」をテーマに話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

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チャートとファンダメンタルズ、どちらが重要?

──窪田さんは、チャート分析とファンダメンタルズ分析をどのように使い分けているのでしょうか?

窪田真之(以下、窪田):チャートに「買い」のシグナルが出ていて、ファンダメンタルズを分析しても「買い」だと判断できる銘柄であれば、迷わず買うことができます。

 同様に、チャートに「売り」のシグナルが出ていて、ファンダメンタルズの観点からも「売り」だと判断できる銘柄であれば、簡単に売る決断ができます。

 しかし、実際にはチャートとファンダメンタルズが逆の方向を示すことも頻繁にあります。

──そうした場合、どのように判断すればよいのでしょうか?

窪田:私の場合、チャートに強いシグナルが出ていれば、ファンダメンタルズを無視してチャートに従います。

 これは、ファンドマネジャー時代の鉄則でもありました。

 例えば、保有している銘柄に強い「売り」のシグナルが出たとします。

 仮にファンダメンタルズを分析して「この銘柄は良い」と確信していたとしても、強い売りシグナルが出た時点ですぐに売却します。

──それならば、チャートだけを見て売買すればよいのではないでしょうか?

窪田:強いシグナルは、それほど頻繁に出るものではありません。多くの場合、「どちらかと言えば買い」「どちらかと言えば売り」といった、あいまいなチャートになります。

 そういった場合は、チャートだけでは判断できません。そのため、ファンダメンタルズを確認し、総合的に判断することになります。

 ただし、注意してほしいのは、チャート分析とファンダメンタルズ分析を自分の都合の良いように使い分けてしまうことです。

 例えば、チャートを見て「勢いよく伸びている」と判断し、ある銘柄を購入したとします。

 その後、チャートのシグナル通りに株価が一時的に上昇したものの、時間が経つにつれてチャートが崩れ、下落し始めました。

 それにもかかわらず、「この会社は生成AI関連の有望な銘柄だし、ファンダメンタルズ的に問題ない」と考えて売らずに保有し続ける人がいます。

 これは、チャートで買ったのに、売る時にはチャートを無視してしまう典型的な失敗例です。

 重要なのは、強いチャートのシグナルには必ず従うこと。チャートでは判断ができない場合に、ファンダメンタルズを分析する。この使い分けが、トレードの勝率を高めるポイントです。