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金相場は10月20日に史上最高値1トロイオンス=4381ドルを付けた後、3880ドル台まで急落したが、足元では4200ドル台へと持ち直している。米利下げ観測、米中対立、米政府機関閉鎖など支援材料が反転し、下押し要因となる一方、ドル信認の低下や安全資産需要といった下支え要因も残る。短期的には方向感に欠ける展開が続きやすいだろう。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)
4381ドルの最高値更新後3880ドル台に
反落し現在は4200ドル台に持ち直し
金相場(現物、出所:LSEG、ロンドン証券取引所グループ)は、10月20日に1トロイオンス当たり4381.21ドルの史上最高値を記録後、一時3800ドル台まで下落したものの、足元は4200ドル台まで持ち直している。
8月以降の金相場を振り返ると、1日は、上昇幅がやや大きくなった。7月の米雇用統計が発表され、就業者数が前月比7.3万人増と市場予想を下回ったうえ、5月分が14.4万人増から1.9万人増、6月分が14.7万人増から1.4万人増へと下方修正されたことを受けて、米景気減速懸念が一気に強まった。利下げ期待から米市場金利は低下し、相対的に金投資の魅力を高めた。
11日は、翌日に7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控える中、利益確定売りが優勢だった。前週に一時報道されて相場を押し上げた金地金への関税適用との話はトランプ米大統領によって否定された。
22日は、経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「政策金利の引き下げ検討を慎重に進められる状況」と述べたことを受けて、早期利下げ観測が強まり、市場金利やドル相場の低下につながって金は上昇した。
次ページでは、続けて9月以降の相場を振り返りつつ、今後の金相場の動向を検証する。








