このように、特別支援学級は、恒常的な学級開設が予定できないうえに、学級数が減って教員が過員状態になる可能性が、一般の学級よりも高いのである。もしも過員状態になったとき、その学級に配置されているのが正規雇用教員だった場合、突然解雇することも、あるいは年度途中で突然他校に転勤させることも難しい。

 そのため、減少リスクのある特別支援学級には、あらかじめ非正規雇用教員を配置する運用がなされているというのである。高い専門性が必要とされる特別支援学級に、過員対策によって、非正規雇用教員が優先的に配置される傾向が生じている。

教員採用試験の応募者は減少
増やしたくても増やせない

 4月に正規雇用教員の欠員が増えた第3の要因は、教員採用試験の応募者の減少である。図3-5は2012年度から21年度の県における教員採用試験の応募者数の推移である。

図3-5同書より転載 拡大画像表示

 小学校では、2012年度に430人の募集に対し2073人の応募(4.82倍)があったが、2021年度には350人に対し1129人の応募(3.23倍)となり、応募者数が一貫して減少傾向にある。

書影『教員不足――誰が子どもを支えるのか』(岩波書店)『教員不足――誰が子どもを支えるのか』(岩波書店)
佐久間亜紀 著

 中学校においても、2012年度には240人の募集に対し1966人の応募(8.19倍)があったが、2021年度には240人に対し1176人の応募(4.90倍)となっている。応募者は、2017年度のみ微増したものの、それ以外は減少している。

 教科別にみると、技術科は2021年度には10人の募集に10人の応募しかなく、美術科も16人の募集に21人の応募しかない。これらの教科では、応募した後の受験辞退や合格発表後の採用辞退などにより、必要数を確保できない事態になっているという。

 私たちの面接調査に応じた人事担当者たちは、教科ごとに採用する必要がある中学校では特に、教科によっては採用したい人数ギリギリの応募者しかなくなっている現状では、採用数を増やしたくても急には増やせない、と語った。