累計販売台数450万台――。iPhoneの数字にしては少ないし、ルンバの数字としては多すぎる。先日トヨタ自動車がハイブリッド車の累計販売台数が発売以来約16年で500万台を突破したというから、数だけで見ればそれと同等か。この数字は何を隠そう、2009年9月に発売され、今もなお人気が持続しているマッサージクッション「ルルド」シリーズの販売台数だ。
ルルドは電動で動く4つのもみ玉が内蔵されたクッションで、肩や腰などの部位にあてるだけでコリをほぐしてくれるという商品。従来のマッサージ器は、高額なマッサージチェアか、手に持ってツボを押す電動または手動の廉価なグッズに二分されていた。そこにルルドは、1万円以下の手ごろな価格帯で、しかも自動でもみほぐす高い機能性を備えたクッションという新種のコリケアグッズとして登場。これが待ってましたとばかりに話題をさらい、人気に火が灯いた。
成功の1つの要因は、比較的若い女性をターゲットにしていることだ。これまでのマッサージ器と言えば、機能性は高くてもファッション性に欠けている面があった。
「そこで、機械的なイメージを一切なくし、見た目の可愛さやデザイン性にこだわった。カバーが取り外せて洗えたり、豊富なカバー色を用意したりするなど、徹底して女性好みの商品作りを心掛けた」(ルルドのメーカーであるアテックスの商品開発第一部部長 東 文惠氏)。
肩コリを訴える若い女性の拡大で
ファッショナブルなケア用品が人気
これに時代背景が追い風となった。実は近年、若い世代を中心に働く女性が増える中、彼女たちの切実な悩みとなっているのが肩コリ。
女性の肩コリ層は若年世代に拡大している。厚労省の2010年の国民生活基礎調査では、2004年を100とした場合、2010年では20代109.1、30代105.8、40代111.8といずれも高い伸び率になっている。一方で50代は101.4、60代以上は99.3とほぼ変わっていない。
しかし、そうした“新肩コリ世代”のニーズを満たすようなコリケアグッズは市場にそれほど出回っていないのが現状。ルルドはその草分けとしていち早く登場し、彼女たちの心をがっちりつかんだ。