5年後までのドル円相場長期見通し、25年は145円に向かい円高は「130円」で底打ちかPhoto:JIJI

2025年のドル円相場
145円に向けて続落

 米国でトランプ大統領が就任したことから、改めて今後5年程度のドル円の長期見通しを考えてみよう。現時点では、トランプ米大統領の政策とその経済・金融市場への影響のみならず、日本銀行の金融政策(追加利上げのタイミングやターミナルレート)を巡っても不確実性が非常に高いものの、想定される経済・金利見通しなどを前提にドル円の経路を想定した。

 25年は米国で基調インフレ(コアPCEデフレータ)が前年比+2.5%前後で高止まりするものの、高金利維持による長期的な景気減速リスクを低減するために米連邦準備制度理事会(FRB)は年2回(6月と12月を想定)の利下げをし、年末のFF金利上限は4.00%に達すると想定する。米10年金利も利下げに伴い4%の方向へ低下することから、ドル円は日米10年金利差の縮小を背景に145円方向へ緩やかに続落すると予想している。

トランプ米政権の政策
ドル安材料は未消化

 昨年10月以降、市場ではドルロングの積み増しが広がった。その背景にはトランプ米大統領の下で米国の景気とインフレが加速するとの期待があったが、こうした期待は既に十分に織り込まれたと見ており、25年中はむしろドルロングの巻き戻しが進む可能性が高いと考えている。

 また、トランプ米大統領の政策にはドル高となる側面だけでなく、ドル安となる側面もある。市場ではドル高となる政策(減税による景気加速、関税引き上げによる輸入インフレ、不法移民強制送還による賃金・インフレ加速)だけが織り込まれた。

 一方、ドル安となり得る政策(関税大幅引き上げによる米国を含めた世界景気減速、不法移民の大量強制送還による内需減少、エネルギー価格半減策によるインフレ鈍化、製造業が苦しむドル高に対する牽制発言など)は十分に織り込まれてこなかったことから、市場はドル安となる政策に反応しやすくなっているとみられる。