25年の日本は「1%成長」見込み、実質賃金プラス化や万博効果もトランプ関税の“暗転”リスクPhoto:PIXTA

カギを握るトランプ政策
FRBは「利下げ停止」

 2025年の日本経済や金融市場を占う最初の注目点だった米トランプ第2次政権の発足、日本銀行の1月金融政策決定会合、米1月FOMC(連邦市場公開委員会)などの一連のエポックが終わった。

 日銀は3回目の利上げを決め、金融政策の正常化を進める姿勢を改めて示す一方で緩和基調は維持。FRB(米連邦準備制度理事会)は昨年9月から3会合続けてきた利下げを停止することを決めた。

 鍵を握る米経済は消費好調などを背景に堅調で、経済や物価の現状評価は上方修正されたが、トランプ政権の政策がインフレを再燃させかねない恐れもあり、パウエル議長は「政策スタンスの調整は急ぐ必要はない」と、トランプ政権の政策運営を注視する姿勢を示した。

 そのトランプ氏は就任演説では、移民規制強化やエネルギー政策転換での具体策への言及が中心だったが、2月1日には、大統領選の公約に掲げたメキシコ・カナダからの輸入品への25%関税や中国への10%追加関税実施の大統領令に署名。メキシコ・カナダへの課税は「一カ月発動停止」となったが、先行きは不透明だ。さらにトランプ氏が選挙公約で掲げた10~20%の普遍的基本関税などが、今後、どのような形で実施されるかで、状況は大きく変わりそうだ。

 現状では、25年の日本経済は、春闘で昨年に続き高い賃上げが維持されそうなことや大阪・関西万博の経済効果もあって実質GDP成長率1%程度の緩やかな回復が見込まれる。

 だが、トランプ政策による「暗転のリスク」は排除できない。