前回まではいかにブランディング、そしてプライシングを行ったかという、そのごく一部をご紹介しましたが、今回の連載は「いかに人を集めたか」。なぜ、目標は1000万人だったのか?その戦略とは?たくさんのエッセンスの中から、その大胆かつ緻密なマーケティングをお伝えします。

ゼロから1000万人を集められた理由とは?

 前回までは本書からブランディング、そしてプライシングのごく一部をご紹介しましたが、今回は「いかに人を集めたか」という視点でひとつだけ、お話したいと思います。

 東京ディズニーランドの初年度の入場者数は993万3000人。まったくゼロからスタートして、どうして1000万人近い集客ができたのか。これほどの入場者を集めた施設は、それまでにはなかったのではないかと思います。

 では、東京ディズニーランドは何をしたのか。このお話をする前に、まず、知っておいていただきたいことがあります。

今やディズニーランドという存在について知らない日本人というのは、ごく少ないと思います。ところが、私が入社した開業2年前当時、実はディズニーランドの存在を知っている人は、わずか2ほどでした。

 アメリカで大成功しているディズニーだからこんなにうまくいったのだ、という声が聞こえてくることがありましたが、日本とアメリカでは文化も人種も違います。そこを意識しながら、入場料の設定からプロモーションまで、ここでも「これでもか、これでもか」が貫かれていたのでした。

 それでは、ディズニーランドはどのようなマーケティングを積み重ね、「本物」を日本に浸透させていったのでしょうか。