米中古住宅は買い手不在 売り物件の取り下げが増加Photo:Bloomberg/gettyimages

 米国で昨年12月に中古住宅の売却を取りやめた件数が増加した。米住宅市場が機能不全に陥りつつあることを示す最新の兆候だ。

 不動産情報会社コアロジックのデータによると、12月に買い手が見つからず、売り物件を取り下げたケースは約7万3000件に上った。

 冬季には積極的に住宅を探す人が減り、中古住宅の売却取り下げは増加しやすい。だが昨年12月は例年よりもその傾向が強く、売り出し中だった物件のほぼ10件に1件が取り下げられた。前年同月比で64%増加した。

 多くの売り手は一時的に取り下げ、春に再び売り出す方が効果的だと考えている。だが売却取り下げの急増は、2024年を通じて住宅市場に出された物件の多くが余剰在庫として残り、冬の到来とともに取り下げざるを得なかったことを物語る。それに加え、表面的な在庫数が示す以上に、積もり積もった売りの意欲があることもうかがわせる。

 ここ数年の米住宅市場を特徴づけてきたのは、超低金利の住宅ローンで持ち家を購入した人々が、その金利を手放したくないため、同じ家に住み続けているという状況だった。住宅ローン利用者の約3分の2は4%未満の金利で借りている。そのため、中古住宅の供給が滞り、米国の住宅価格を過去最高水準に押し上げていた。