「チームの役に立てない人と貢献できる人を分ける違いがあります」
そう語るのは、著書『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』がベストセラーになるなど、メディアにも多数出演する金間大介さん。金沢大学の教授であり、モチベーション研究を専門とし、その知見を活かして企業支援もおこなっています。
その金間さんの新作が『ライバルはいるか?』です。社会人1200人に調査を行い、世界中の論文や研究を調べ、「誰かと競う」ことが人生にもたらす影響を解き明かしました。挑戦する勇気を得られる内容に、「これは名著だ!」「人生のモヤモヤが晴れた!」との声が多数寄せられています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して、「チームに貢献できる人の特徴」を紹介します。
「モブでいたい」と言う若者たちへ
「自分はモブのままでいい。モブのままがいい」
そう言う人もいるだろう。
僕がこれまで手掛けてきた若者に対する研究では、確かにそういった気質を持った若者が多いことが明らかになっている。
研究者の僕としては、そのデータに向き合い、客観的な思考を深める。
でも、ひとりの人間としての僕の主観は、まだそのデータを受け入れていない。
自分にしかできない何かで、チームに貢献する。自分のやるべきことが明確になり、そこに意識が集中する。言葉はなくとも、周りの人が認めてくれているのがわかる。自分がチームのメンバーで良かったと、周りの人が思ってくれているのが伝わる。
そう感じられる状態は、何ものにも代えがたいものだ。
そのために「個」を鍛えること。
チームに貢献するために、徹底的に「個」を意識すること。
僕はこれを強く提案したい。
この世界は「個人戦」でできている
ここまで、本研究を通して、多くのライバル像と向き合ってきた。質問票調査やインタビュー調査、先行研究、そして僕自身の経験も踏まえ、1つの結論に至る。
それは「この世界は個人戦でできている」ということ。
チームで戦うとはどういうことか。僕たちにとって、最高のチームとは何か。
この問いを突き詰めれば突き詰めるほど、「個」としての重要性が浮上する。
きっとこれが本質だ。
ほとんどの人は、組織やチームの一員として活動している。受験のような個々の戦いでさえ、仲間を意識することは多い。
では、そのとき念頭に置く「仲間」とは誰か。
そのとき想像する「仲間」とはどんな人か。
僕が行ってきた「ライバル」研究とは、この問いに正対し、徹底的に「仲間」の解像度を上げていくプロセスと同義だった。
そうして浮かび上がってきた結論が、「個」としての強さの重要性だ。
個人戦を戦える者のみがチームに貢献できる
受験どころか、バレーボールやサッカーのようなチーム競技でさえ、力の源は個人に起因する。
チームというが、その実は個人がすべてだ。個人が力を発揮しなければ、チームなど意味がない。
したがって、ここから帰結されるもう1つの結論がこれだ。
個人戦を戦える者だけが、本当の意味でチームに貢献することができる。
誰でもチームや社会に貢献したいという気持ちはあると思う。そんなときこそ、自分自身の「個」としての価値を本気で思考し、高める必要がある。
自分が担うべき役割は何か。今とるべきベストのアプローチは何か。
そうして自発的に思考するからこそ、チームに新たな力をもたらすことができるのだ。
(本稿は、書籍『ライバルはいるか?』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)
書籍『ライバルはいるか?』では、社会人1200人に行った調査や、世界中の論文や研究からわかった「競争」の認識が変わる様々な事実が掲載されています。本書を読めば、「競争」を力に変えて、「充実した人生」を手に入れられるでしょう!
★仕事の満足度が高まる★
★挑戦する勇気をもらえる★
★人生の停滞感を打破できる★
研究者が1200人を調査して解明。
知れば人生が変わる
「競争」の真実!!
誰かと競うことは本当に「悪」なのか?
1200人を徹底調査してわかった「意外な真実」!!
★ベストセラー『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』の著者、渾身作!!
現代では「みんな仲良く」が正義とされ、「競争」は徹底的に排除された。しかし、本当に競争は「悪」でしかないのだろうか?
そこで1200人を対象に調査を行い、世界中の研究や論文を調べたところ、驚くべき真実が見えてきた。
「競争」から逃げて、実力を秘めたままでいるか。
「競争」の力を借りて、実力以上を発揮するか。
賢く選ぶために知っておきたい真実を、この本でお伝えしよう。
第1章 ライバルは敵か、味方か―1200人調査で判明した意外な事実
たくさんいる人たちの中で、どこか気になる存在/ライバルは相反する感情をもたらす/1200人のライバル実態調査の結果から/ライバルはどこに現れる?/「幸福度」に関する驚きの調査結果……など
第2章 現代からライバルが消えた理由―こうして日本社会は競争を葬った
「競争相手」のいない世界/競争は、いつから「悪」になったのか?/「みんな仲良く」という時代の副作用/「無菌状態化」する日本企業の職場環境/競争がなくなったことで失われた光景……など
第3章 ライバルの真のイメージ—それは本当にネガティブな存在なのか
負けることは、恥ずかしいことなのか?/1151人が抱くライバルのイメージ/ライバルがいない人ほど、ライバルを「恐れる」/ライバルがもたらす、大切な「ある感情」……など
第4章 ライバルがいるから頑張れる―意欲と満足度に与えるプラスの影響
入社3年目の「社内マップ」/ライバル観の4つのタイプ/なぜ若手にとって「目標型ライバル」は重要なのか?/統計に表れた「ライバルの有用性」……など
第5章 ライバルこそがあなたを成長させる―競争の果てに得る4つの成長実感
スーパー技術者たちの戦い/なぜ勝者も敗者も、同じ感情を抱くのか/ライバルの有無と成長実感の関係/あの人がいなかったらここまで来れなかった……など
第6章 恋のライバルと戦う—敗北は人生に何をもたらすのか
人が恋に落ちる瞬間/エスカレーターの一段に無限の宇宙を感じる/「恋のライバル」という残酷な存在/4人の恋の結末……など
第7章 ライバルの効能を科学する—世界の研究が明らかにした成功との相関
25秒もタイムが縮まったランナー/膨大な先行研究から導き出した2つの有用性/「比較された従業員」が辿る、正の道と負の道/ライバルのいる人といない人、どちらの年収が上か……など
第8章 ライバル意識のダークサイド―敵対心という心の闇との向き合い方
アメリカで出会ったイケメンの友だちと天才/勝たなければいけないという気持ちが行きつく先/「勝利至上主義」の是非とライバルに対する敵意/「足を引っ張る」ことに喜びを感じる日本人/どんな人が現れても、揺さぶられない自分でありたい……など
第9章 自分という最強のライバル—勝者であり続ける人が戦っているもの
ライバル研究「最大の疑問」/「若くして頂点を極めると成長が止まる」は本当か/藤井聡太がダークサイドと決別した瞬間/364日は「過去の自分」の勝ち/過去の自分に勝つ方法……など
第10章 ライバルと手を組むとき―最高のチームが誕生する瞬間
真に「競争から協調へ」が実るとき/「チームの一員としてふさわしいか」というプレッシャー/この世界は個人戦でできている/自分にしかできない何かを見つけるために……など