「チームの役に立てない人と貢献できる人を分ける違いがあります」
そう語るのは、著書『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』がベストセラーになるなど、メディアにも多数出演する金間大介さん。金沢大学の教授であり、モチベーション研究を専門とし、その知見を活かして企業支援もおこなっています。
その金間さんの新作が『ライバルはいるか?』です。社会人1200人に調査を行い、世界中の論文や研究を調べ、「誰かと競う」ことが人生にもたらす影響を解き明かしました。挑戦する勇気を得られる内容に、「これは名著だ!」「人生のモヤモヤが晴れた!」との声が多数寄せられています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して、「チームに貢献できる人の特徴」を紹介します。

チームの役に立てない「モブキャラで終わる人」と「チームに貢献できる人」の、たった1つの違いPhoto: Adobe Stock

「モブでいたい」と言う若者たちへ

「自分はモブのままでいい。モブのままがいい」

 そう言う人もいるだろう。
 僕がこれまで手掛けてきた若者に対する研究では、確かにそういった気質を持った若者が多いことが明らかになっている。

 研究者の僕としては、そのデータに向き合い、客観的な思考を深める。
 でも、ひとりの人間としての僕の主観は、まだそのデータを受け入れていない。

 自分にしかできない何かで、チームに貢献する。自分のやるべきことが明確になり、そこに意識が集中する。言葉はなくとも、周りの人が認めてくれているのがわかる。自分がチームのメンバーで良かったと、周りの人が思ってくれているのが伝わる。

 そう感じられる状態は、何ものにも代えがたいものだ。

 そのために「個」を鍛えること。
 チームに貢献するために、徹底的に「個」を意識すること。

 僕はこれを強く提案したい。

この世界は「個人戦」でできている

 ここまで、本研究を通して、多くのライバル像と向き合ってきた。質問票調査やインタビュー調査、先行研究、そして僕自身の経験も踏まえ、1つの結論に至る。

 それは「この世界は個人戦でできている」ということ。

 チームで戦うとはどういうことか。僕たちにとって、最高のチームとは何か。
 この問いを突き詰めれば突き詰めるほど、「個」としての重要性が浮上する。
 きっとこれが本質だ。

 ほとんどの人は、組織やチームの一員として活動している。受験のような個々の戦いでさえ、仲間を意識することは多い。

 では、そのとき念頭に置く「仲間」とは誰か。
 そのとき想像する「仲間」とはどんな人か。
 僕が行ってきた「ライバル」研究とは、この問いに正対し、徹底的に「仲間」の解像度を上げていくプロセスと同義だった。

 そうして浮かび上がってきた結論が、「個」としての強さの重要性だ。

個人戦を戦える者のみがチームに貢献できる

 受験どころか、バレーボールやサッカーのようなチーム競技でさえ、力の源は個人に起因する。
 チームというが、その実は個人がすべてだ。個人が力を発揮しなければ、チームなど意味がない。

 したがって、ここから帰結されるもう1つの結論がこれだ。 

 個人戦を戦える者だけが、本当の意味でチームに貢献することができる。

 誰でもチームや社会に貢献したいという気持ちはあると思う。そんなときこそ、自分自身の「個」としての価値を本気で思考し、高める必要がある。

 自分が担うべき役割は何か。今とるべきベストのアプローチは何か。
 そうして自発的に思考するからこそ、チームに新たな力をもたらすことができるのだ。

(本稿は、書籍『ライバルはいるか?』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)