「人生を、劇的に変えることができたらいいのに」。そんなふうに考えたことがある人もいるのではないだろうか。しかし、現実はそんなに甘くない。そのためには、「奇跡的な幸運か、死に物狂いの努力が必要に違いない」と諦めている人も少なくないだろう。しかし、コーチングスクール「ホリシニクスアカデミー」の学長で、1分朝活グループを主宰する三宅裕之氏は、「毎日1分間日記を書くだけで、奇跡のように人生が激変する」と語る。それは一体どのような日記なのだろうか。三宅氏の『奇跡が起きる 毎朝1分日記』をもとに、その内容と奇跡が起こる理由を解説する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

「毎朝1分日記」の効果とは?
「毎朝1分間日記を書くだけで、奇跡のように人生が激変する」
そう言われた時、あなたはどう思うだろうか?
素直に「そんなことで人生が激変するならやってみようかな」と思う人もいれば、「なんでそんなことで激変するんだ」と考えた人もいるだろう。「そんなわけないじゃん」と一蹴した人もいるかもしれない。
ちなみに筆者は、「なんでそんなことで激変するんだ?」と疑問に思った派だ。
自己啓発本などで、「自分の考えをノートに書き出そう」と謳っている本は多々あるが、自分と向き合い考えを書き綴るのは、それなりに労力が必要で大変だ。
一方で、三宅氏は「1分間で書けることでいい」と語る。
一体、1分間で何を書き、それがどのような効果をもたらすのだろうか。
前日の「グッド」と今日の「チャレンジ」を書くだけ
本書によると、毎朝1分日記に書くことは、「たった2つ」だ。
・今日やりたい「チャレンジ」(挑戦したいこと、変えたいこと)(P.49-50)
この「グッド」と「チャレンジ」のもとになっているのは、アメリカの教育学者ピーター・クライン氏が組織を活性化するために考案した「グッド&ニュー(いいこと、新しいこと)」というゲームだそうだ。
メンバーの相互理解を深めたり、コミュニケーションが活発になったりする効果はもちろん、発表に向けて常に「いいこと・新しいこと」を探す習慣が身につくことから、メンバー一人一人のものの見方がポジティブになる効果もあることがわかっています。(P.50)
三宅氏は「毎日1分日記では、これをさらにわかりやすくするために、『グッド&チャレンジ』に改良しました」と語る。
「グッド」を書くために、「グッド」を探す
そんなに毎日「グッド」な出来事はあるだろうか、と考えてしまうところではあるが、三宅氏によるとほんの小さな「グッド」で良いのだそうだ。それは次のようなものだ。
・妻のチキンカレーがおいしかった、感謝
・彼が新しい髪型を「かわいいね」と言ってくれた
・7時間ぐっすり眠れた。日中すっきり
・デスク周りのそうじができた。私エラい
・部下の和田さんの強みを具体的にほめることができた
・娘が「シチューおいしい!」と言い、おかわりしてくれた
・読みたい本をひとまずネット書店のオンラインカートに入れた
・駅のエスカレーターを使わずに階段を上ってみた(P.52-53)
さらには、「昨日は何もグッドが無かったなぁ」という日こそ、「普段は意識していない大切なことに目を向けられる大チャンス」なのだそうだ。
こうした「忘れてしまいがちだけど、実は世界中のほとんどの人々から見てうらやましく、称賛されるようなこと」はたくさんある。
毎日「グッド」を書き出すことは、そんな「普段は意識していない大切なこと」に気づけるチャンスでもあるのだ。
小さなステップの積み重ねが人生を変える
一方、「今日やりたい『チャレンジ』は、『今日はこれに挑戦するぞ、これを変えるぞ』という決意表明」と三宅氏は語る。
「そんなに毎日、何かにチャレンジする余裕なんてないよ!」と言いたくなるところだが、別に大きなチャレンジである必要はないという。
もっともっと気軽にできること、たとえば「通勤経路で曲がったことのない角を曲がってみる」とか、「駅前の本屋さんで読んだことのない雑誌を立ち読みしてみる」といった、小さな小さな決意表明でも十分です。(P.54)
確かに、この程度であれば面白がってチャレンジできそうだ。しかし、この程度のことが本当に何か人生に影響するのだろうか。
三宅氏によると、アメリカの作家スティーブン・ガイズは、「最初の一歩は小さければ小さいほど優れていること、そしてバカバカしいほど小さなステップの積み重ねが、やがて人生を変えるという真実を発見した」と語っているそうだ。
「このように、自分自身で書き込んだ今日のチャレンジを毎日毎日達成し、それをグッドとして振り返ることで、自己肯定感はどんどん上がっていく」と三宅氏は説明する。
自己肯定感が上がることで「自分はやれる」という自信が高まる。そして、結果的に毎朝書き込むチャレンジの内容も大きなものへと変わっていくのだそうだ。
同じ場所で立ち止まるより、小さな一歩を重ねよう
このような、小さな積み重ねが、自分を「動ける人」に変えてくれるという「毎朝1分日記」。
どれだけ小さな一歩であったとしても、一歩ずつでも毎日動けば、1年後、2年後に人は思わぬところまで進んでいける。
一方で、動かない人はいつまでも同じ場所にとどまることになる。その差は歴然だ。
大きな奇跡が起きなくても、死ぬような思いで努力をしなくても、きっと人は変わっていける。
毎朝1分日記はそう思わせてくれる力を持っているものだった。
さてはて、実際に人生は変わるのか? 早速明日から試してみたいと思う。