ドナルド・トランプ米大統領の就任直前、スティーブ・バノン氏は政治専門紙ポリティコで、かつての上司であるトランプ氏に対し、ウクライナは「トランプのベトナム」になる可能性があると警告した。バノン氏は正しいが、理由は彼が考えているようなことではない。バノン氏は、ウクライナと決別できないことがトランプ氏の過ちになると主張する。それは、リチャード・ニクソン元米大統領がベトナム戦争に引き込まれ、それをリンドン・ジョンソン氏(元米大統領)の戦争から自身の戦争に変えたのと同じ状況だと、バノン氏は述べる。現実に起きているのは正反対のことだ。トランプ氏は、ウクライナでの大虐殺を終わらせるようなディール(取引)について交渉するのは自分だと選挙活動で訴えた。彼がそれをやり、そのディールが最終的に失敗した場合、つまりロシアのウラジーミル・プーチン大統領が侵攻を再開すれば、トランプ氏のレガシーに極めて大きな汚点を残すことになる。そしてそれは当然のことだ。