全米最大の卵の取引市場には、鶏もいないし農場も加工工場もない。ニューハンプシャー州のオフィスビルを拠点に10人超のスタッフが仲介する年間数十億個に上る卵の取引は、米国人がスーパーマーケットで卵1ダース(12個)を買うのに支払う価格や、食堂でオムレツを注文する際の価格に影響を与えている。エッグ・クリアリングハウス(ECI)は業界外ではほとんど知られていない。運営するオンライン市場では、参加者は売りに出された卵に対する買値を提示し、取引を成立させることができる。取引に参加できるのはECI会員のみで、農家と卵の買い手で構成されている。鳥インフルエンザが養鶏市場を揺るがす中、「卵版ウォール街」であるECIでは買い手の数が売り手をはるかに上回る状態が続いている。昨年はすでにECIにとって最も取引が活発な年となり、26億個超の卵と3900万ポンド(約1万8000トン)以上の卵製品が取引され、取引額は6億ドル(約900億円)を超えた。