
中国市場での競争激化と欧州の厳しい規制に直面した各国の自動車メーカーは、米国に活路を見いだそうとしてきた。そこへドナルド・トランプ米大統領による関税の脅威が浮上した。
トランプ氏は大統領に返り咲くと、9180億ドル(約139兆円)に上る米貿易赤字を問題視し、関税案を次々に打ち出した。メキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税、相手国が設けている貿易制限に基づく 相互関税 、自動車や半導体など特定分野への関税などだ。
トランプ氏は18日、分野ごとに「25%前後」の関税を課し、その後引き上げる可能性があると述べた。企業が米国に生産を移せるよう、猶予期間を設ける可能性も示唆した。
これを受け、欧州とアジアの自動車メーカーは重要性が増している市場での競争力を維持するため、生産計画を見直している。
ホンダ の青山真二副社長は先週、状況の変化に機敏に対応していく考えを示した。
トランプ氏は長年、欧州などからの自動車輸入に不満を表明してきた。米国が欧州連合(EU)からの輸入車に2.5%の関税を課す一方、欧州連合(EU)は米国からの輸入車に10%を課している。米政府は相互関税案を発表した際、これを「互恵的ではない」と指摘した。
米国で昨年販売された小型車約1600万台のうち、およそ半分が輸入車だった。その内訳は、メキシコ・カナダと北米以外がほぼ半々だった。米国はメキシコおよびカナダと貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を結んでいる。