パテルFBI長官、中国通販シーインの株式報酬で多大な利益もPhoto:The Washington Post/gettyimages

 中国発のファストファッション大手シーイン(SHEIN)は新規株式公開(IPO)に向けた準備を進めている。それが年内にも実現した場合、同社の株式を幸運にも早く手に入れられた人は大金持ちになれる。

 そうした勝者の一人が、ドナルド・トランプ米大統領に忠誠を誓うカシュ・パテル氏だ。トランプ氏から 米連邦捜査局(FBI)長官 に指名されたパテル氏は、昨年9カ月にわたりシーインの親会社「エリート・デポ」のコンサルタントを務め、今年提出した財務開示文書によると、100万~500万ドル(約1億5000万~7億5000万円)相当の株式報酬を得ていた。

 パテル氏は、FBI長官への指名が米上院で承認された場合、所有するメタ・プラットフォームズやアップルなど上場企業の株式を売却することに同意していた。上院は20日、 この人事を承認した 。だがパテル氏はエリート・デポの株式は保持する予定で、FBIもそうすることを認めている。これらの株式は2025年の間に順次権利が確定していく(つまり同氏が株を売買できるようになる)。これは実質的に外国企業との金銭的関係が今後も継続することを意味する、と報酬の専門家らは言う。

 このような報酬の仕組みは、パテル氏がFBI長官としては異例の経歴を持つことを浮き彫りにする。FBIの歴代長官は元裁判官や司法省のベテラン幹部が務めてきた。

 パテル氏は弁護士としてキャリアの大半を過ごしたが、近年は政治志向の強い起業家へと転身し、親トランプ派のグッズを販売したり、トランプ氏のメディア企業の取締役に就任したりしている。さらに重要なのは、2021年にコンサルティング会社を設立し、200万ドルを超える収入を得ていることだ。シーインなどの顧客との関係に対し、潜在的な利益相反を巡る疑問が生じている。