「Temu(ティームー)」というECサイトをご存じだろうか。「Temu」は、中国で3番目に規模の大きいECである「ピンドゥドゥ」を傘下に抱えるPDDホールディングスが、新たに世界展開を目指して開始したサービスだ。2023年7月から日本でもサービスを開始しており、アプリダウンロード数では2022年に話題になった激安アパレルECサイト「SHEIN(シーイン)」を上回る勢いで伸びている。中国経済に詳しいジャーナリストの浦上早苗氏にTemuについて解説してもらった。(清談社 須賀小夜子)
急成長中の中国発ECサイト
Temuとはどういう会社なのか?
Temuは現在、約50カ国でサービスを提供し急成長を続けているECサイトだ。中国発の激安ECであることは先発のSHEINと同様だが、その違いは商品ラインアップにある。SHEINはアパレル商品がメインだが、Temuは電化製品から日用雑貨まで商品ラインアップは幅広い。
一番の特徴である値段についてはSHEINと同様、“激安”だ。実際にTemuのアプリを開いてみると、アクセサリーは100円前後、電子機器でも数百円から1000円前後の価格帯の商品が多く並ぶ。一般的な日本人の感覚からすれば、にわかに信じ難いほどの安さに驚きを隠せない。そんなTemuについて浦上氏はこのように分析する。
「Temuは、母体であるピンドゥドゥが中国でやっていたECビジネスをそのまま海外展開したサービスです。SHEINのアメリカでの成功を受け、大小問わず多くの企業がECサービスに乗り出しました。その中で急成長しているのがTemu。2022年、SHEINが話題になっているときに、私も何度も取材を受けました。その際、SHEINのライバルは無印かニトリかと聞かれましたが、私はTemuだと答えています。その魅力はとにかく安いこと。非常にシンプルな理由ですが、Temuがここまで成長した理由は、安さ以外に考えられません」
取り扱っている商品の価格帯は、気軽にポチれる1000円以下がほとんどだ。例えば日用雑貨であれば、リモコン入れとティッシュボックスが一体化した収納グッズなど、ユニークなアイデア商品も多く、値段は数百円台かそれ以下のものがメインの取り扱いになっている。
送料は無料で、90日以内なら返品可能だという。ただしカート内の合計金額が最低注文金額(※変動あり)に満たないと注文することができないというルールがあり、商品単価は安くともその点は注意しておきたい。