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――起業した経緯を教えてください。
松田 大学時代、工学部で機械工学を専攻していたのですが、就職活動で企業巡りをする中で「この先40年間、会社勤めをするために、あれだけ勉強したのか」という疑問が芽生えました。そのとき、ちょうど『facebook』が映画化されたことから、起業に興味を持ったのです。大学在学中から古民家カフェの経営をし、飛び込み営業にも挑戦。Web系のベンチャー企業での勤務を経て、2018年にWebサイト制作を手がける個人事業主として開業しました。20年に法人化しています。
――今の事業内容は?

松田 Webシステム開発全般を手がけています。ステーブルコインの決済システム開発に携わったり、LINEを用いた自治体の連絡システムの開発を支援したり、と幅広い分野の仕事をしています。一方で、法人化前後から自社のWebサービスを開発し、六つほどリリースしてきました。
どれもヒットには至りませんでしたが、24年8月にリリースしたばかりのアプリ「野鳥GO」はユーザーさんからの反応がよく、現在最も力を入れています。
――野鳥GOはどんなアプリですか?
松田 野鳥撮影を楽しむためのアプリです。撮影した野鳥の画像をアップロードすると、AIによって鳥の種類を識別できますが、実はその手のアプリは国内外に数多く存在します。従来の野鳥識別アプリとの大きな違いは、エンターテインメント性を重視している点です。
アプリの図鑑には国内の683種が用意されているのですが、ここに自分が撮影した野鳥の画像を載せられます。図鑑を埋めていくことで、自分だけの図鑑を作ることができるのです。図鑑には鳥ごとに生態の解説文が載っていて、専門家でなくても、野鳥を撮影して楽しめます。
リリースして間もないのですが、月間アクティブユーザー数は200人を超えました。「ゲームのモンスター集めみたいで楽しい」「少年心をくすぐられる」と好評の声を頂いています。
――野鳥GOを開発したきっかけは?
松田 23年に趣味で一眼レフカメラを購入し、近所の公園で野鳥を撮影したことです。するとスマートフォンのカメラでは捉えられなかった鳥たちの姿が鮮明に見えてきて。伝説のモンスターのような鮮やかな色彩を持つ野鳥たちの姿に魅了されました。そうして野鳥を撮影するうちに、野鳥の種類を識別できて図鑑にできるアプリがあったらいいのでは、と考えたのです。
――野鳥GOの収益構造は?
松田 一部機能は有料にしていますが、まだアプリ自体が開発途上であるため、魅力的な機能をどんどん実装していきたいと考えています。まず、25年1月にはマップ機能をリリースします。これで観察スポットの登録や撮影場所の記録ができるようになります。
ただし、希少種の保護や生息地域への配慮は非常に重要なので、これらの情報は、他者へは公開されないようになっております。将来的には、特定地域の鳥の画像を集めるとデジタル称号などが得られるような、ゲーム的要素の強い機能も実装したいと考えています。
また図鑑の内容も充実させ、食性や鳴き声、季節による分布の変化など、より詳細な情報を提供していく予定です。