10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、好評です。本稿では、本の刊行を記念し行われた、りんご塾塾長の田邉亨氏と算数教育家の安浪京子先生との対談から田邉先生の発言を抜粋して、「算数力」アップのコツを紹介します。

拡大画像表示
計算ミスが多い低学年の子には「点つなぎ」が効果的
低学年の場合、数字を間違えずに書き写したりする作業だけでも、非常に難しいです。
たとえば、左側にある図形を右側にそのまま書くという作業でも大人なら容易にできますが、子どもはその能力がまだ十分に育っていないため、苦戦します。これを「なぜできないの?」ということは、まだ身長が十分に伸びていない子に「なんでここに届かないのか」と言うのと同じことです。
大前提として無理にやらせるのはよくありませんが、計算や書き写しの能力を鍛える方法として、私は「点つなぎ」を頻繁に取り入れることが効果的だと考えています。「点つなぎ」というのは、点を数字などの順番につないでいくと、何らかの形が完成するもので、子どもたちも大好きです。
実際、「りんご塾」でも毎回の授業で「点つなぎ」を行い、数字を見つけるスピードや線の美しさ、全体の速さを評価しています。こうしたこどもが楽しんで取り組める練習は、計算力をはじめとするさまざまな能力が向上するため、単に計算練習だけに偏るよりも、総合的な視野の広さや検索する能力も養われ、結果としてミスが減るようになります。幼いころは、「点つなぎ」や「塗り絵を綺麗に仕上げる」といった練習をすることも非常に大切だと思います。「点つなぎ」は『「算数力」は小3までに育てなさい』の中でもいくつか紹介していますのでご興味があればご覧ください。
また、子どもが単純なミスをすると、ついイライラするかもしれませんが、そこで怒ってしまうと、子どもはなぜ間違えたのかを説明する代わりに、間違えたことをどんどん隠すようになってしまいます。おまけに緊張するためにますます間違えるようになります。
ミスしたときは、なぜ間違えたのかを子ども自身が考え、次につなげられるような声がけをすることが大事です。
*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)の著者・田邉亨先生と、『中学受験必勝ノート術』、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策』(ともにダイヤモンド社刊)の著者・安浪京子先生の対談から、田邉先生の発言を抜粋・編集したものです。