エスニック料理から高級ブランド服まで…ロサンゼルス山火事の被災者支援が凄すぎた【現地取材】メキシコ料理の無料ランチを配るルイス・ナヴァラさん(左)とミンディ・ヘンダーソンさん(右) 写真:長野美穂

今年1月7日に発生したロサンゼルス近郊の山火事で18万人が避難し、約1万2千軒の家屋が焼失した。多くの住民がホームレスになる中、現地LAのボランティアたちはどんな支援をしているのか。現地で取材した。(取材・文・写真/ジャーナリスト 長野美穂)

火災発生の翌日にボランティア要請
翌々日には温かい食事を届け始めた

「鶏肉のクリームソース和えどう?シュリンプが入ったファヒータ(トルティーヤで包んだ肉料理)もあるよ。温かいうちに、どうぞ~!」

 そう言いながら、列に並ぶ多数の避難民たちに無料ランチを配っていたのは、ルイス・ナヴァラさんだ。

 彼はLA郊外のロングビーチ市内にあるメキシコ料理のレストラン『ローラズ』のシェフ兼オーナーである。

 LA火災発生の2日後から毎日約800食のランチを作り続け、最も被害が大きいパリセーズ地区やアルタディーナ地区などをライトバンで回って、避難民たちに無料配布してきた。

「冷えたものではなく、温かい食事を配ることが僕たちの使命。住む場所を失った人たちに一瞬でもほっとする瞬間を味わってもらいたいから」と彼は言う。

 彼は自分のレストランで朝5時にランチ800食分の仕込みを開始し、出来上がったら専用保温器に入れて車両でパリセーズやアルタディーナなどの被災地近くに出向く。

 午前11時から午後3時までの間に配布し、毎日全てなくなるという。彼が無料ランチ配布のボランディアを始めたのは、火災発生翌々日の1月9日だった。

「7日の火災発生の翌日の8日に、ワールド・セントラル・キッチンから連絡が入って『火災の被災者にランチを届けるボランティアをやってくれる?』と要請があった。すぐOKし、ウチのスタッフのうち4人を専任にして、ランチを作り始めたよ」