「水平質問」「垂直質問」を駆使する

 会社勤めをしていた若いころ、私はハウスメーカーで施工管理の仕事をしていたのですが、毎日毎日、次から次へとさまざまな問題が起きるのです。

 工事現場の近隣からクレームがきたり、品質に問題が起きたり、職人同士がケンカし始めたり、事故が起きたり……トラブル処理中に次のトラブルが起きるようなこともありました。

 トラブルが起きたとき、真っ先に私が考えたのは、

「この問題の対応策を五つ挙げるとしたら?」

 ということでした。悩むのも嘆くのも時間がもったいないので、問題が発生したら自動的に、自分が考えうる対応策の選択肢を五つ出すように心がけたのです。その中から、一番現実的だと思う方法を選んで行動を起こすようにしました。

 この一連の流れをパターン化することで、すぐに解決に向けて動き出せるようになったのです。

 そこでトラブルの解決に悩む部下にも、先にゴールを描かせた上で、

「この問題の解決策を五つ挙げるとしたら?」
「今回の対応策を三つ挙げるとしたら?」

 といったように問いかけてみましょう。

 複数の答えを求めることで、相手の発想を広げる質問を、コーチングでは「水平質問」といいます。

 最初はこういった水平質問で選択肢をぐんと広げておいて、次の段階で、

「その中で、今回はどれがベストだと思う?」

 と絞り込んでいくのがおすすめです。

 問題に対応したいと思ってはいても、どういったゴールを目指すのかが見えていないと、今取るべき行動も見えてきません。

 問題解決のためには、現状を把握し、何をもって解決とするのかゴールを設定した上で、そこまでの過程をどのように埋めていくかを考える必要があります。

 ですから、対応策を一つに絞ったら、

「いつやるか?」
「誰がやるか?」
「誰とやるのか?」
「どのようにやるのか?」
「必要なものは何か?」

 こんなふうに、「When:いつ」「Where:どこで」「Who(m):誰が・誰と」「What:何を」「Why:どうして・なんのために」「How:どのように」の「5W1H」を意識した質問で、その解決策をさらに具体化していきましょう。

 具体的になればなるほど、今何をするべきかが明確になるので、行動を起こしやすくなるはずです。

 このように、相手の思考を深めていくような質問を「垂直質問」といいます。

 問題の解決策を探るとき、「水平質問」「垂直質問」を活用したアプローチは非常に有効です。

 部下がベストな解決策を導き出し、すぐに対応できるように、「いい質問」を活用してください。