
「最近の若手は指示待ちばかりで、自分で動こうとしない」――もしそう感じることがあるなら、それは上司の接し方に原因があるのかもしれない。プロコーチの林英利氏は、部下の成長を促すには、「指示」ではなく「質問」が重要だと指摘する。部下が自ら気づき、動き出すための「いい質問」とは?林氏の新刊『いい質問が部下を動かす』(三笠書房)から、部下のやる気を引き出し、主体性を育むための実践的な質問術を紹介する。
「それで?」「どうするの?」と問う前にすべきこと
部下がトラブルに見舞われたとき、上司は何をどう質問するかを考える前に、どういうスタンスで部下に接するのかを考える必要があります。
そもそも、「すみません。ちょっと問題がありまして……」と部下が自己申告してくれればいいのですが、実際は部下がなんとか自分で解決しようとしてトラブルを隠すことがほとんどです。その結果、上司が問題を把握したときにはすでに手遅れになっていることも多々あります。
つまり、このケースでも、部下にどんな質問を投げかけるか以前に、しっかりと部下を観察しておく必要があります。
一方で、トラブルが起こっているとわかっていても、やたらと口出しするのは考えものです。
部下に対処可能な問題にまで上司が手出ししてしまうと、部下の成長の機会を奪うことになり、部下の自走力は育まれません。
そうならないように上司は、手を貸すべきか、見守るべきかの見極めをしなければなりません。
上司として部下をしっかりと観察することは、どのタイミングでも、どんな問題においても欠かせないのです。
では観察して、部下に助けが必要だと思ったら、まずどのように声をかけるのがいいのでしょうか。