
収入に所得税がかからない非課税枠の最低額である「年収103万円の壁」。その引き上げを巡って、自民、公明、国民民主の3党が議論を重ねてきた。2月26日に国会で3党の税制協議が行われ、与党側は160万円の壁への引き上げと減税の対象者を年収850万円以下の人までとする案を改めて示した。一方、国民民主党は178万円への引き上げを求めたため、2025年度の税制改正に向けた合意はできなかった。26年度に向けて引き続き議論が行われることになったが、給与所得控除だけでなく「基礎控除」の観点も含めた検討も必要なのではないか。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)
日本では「壁議論」が活発だが
欧州で注力している国は少ない給与所得控除
はじめに年収103万円の壁について、おさらいしておきましょう。
103万円の壁の税金の内訳は「給与所得控除」55万円と「基礎控除」48万円の合計です。この給与所得控除とは、年末調整で適用されているので気付きにくいものですが、所得税の課税対象である「給与所得」を計算する際に、給与から控除をすでに差し引いています。会社員など給与を受け取っている人だけが受けられる制度です。
一方、自営業、フリーランスは、この控除を受けることはできません。自営業やフリーランスは、経費としておとせますが、限界があります。
そもそも、給与所得控除に力を入れている国はそんなに多くありません。