米経済堅調でも国民なお悲観ムードPhoto:Spencer Platt/gettyimages

 昨年11月の米大統領選以降、多くのことが変わったが、変わらないものもある。米経済の堅調ぶりと、経済に対する悲観的な見方だ。

 こうしたかい離は全米産業審議会(コンファレンスボード)の25日のリポートにも表れており、2月の消費者信頼感指数は前月比6.7%低下し、2021年以来最大の下げ幅となった。米ミシガン大学が発表した消費者信頼感指数も低下したほか、複数の企業調査でも同様の結果が出ている。

 こうしたムードはドナルド・トランプ米大統領に対する見方にも及んでいるのかもしれない。ギャラップとクイニピアック大学がそれぞれ実施した最近の世論調査では、トランプ氏の経済運営を「支持しない」との回答が「支持する」を上回った。

 1月20日のトランプ大統領就任後の景気動向を示す確かなデータはほぼない。だが入手可能なデータによると、経済は依然としてかなり堅調だ。1月の就業者数は力強く伸び、失業率はわずかに改善した。新規失業保険申請件数はここ数週間、低水準にとどまっている。ただ首都ワシントンは、トランプ氏による人員削減で大きな打撃を受けている。

 米国株はここ数日値下がりしたものの、大統領選当日の水準を上回ったままだ。債券利回りと原油価格が低下したことは、成長への懸念がある表れだが、住宅ローン金利とガソリン価格の低下につながる。

 トランプ氏はいずれジョー・バイデン前大統領のように、客観的な現実と世間のムードとのかい離に悩まされることになる、と考えるのは時期尚早だ。とはいえ、国民の間には長らく不安がまん延しており、ホワイトハウスのあるじが変わっただけでは不安は消えそうにない。