トランプ氏、FRBに「口撃」再開 ただし利下げは封印Photo:Kayla Bartkowski/gettyimages

 ドナルド・トランプ大統領は1期目を終え中断していたことを再開した。お気に入りの宿敵である米連邦準備制度理事会(FRB)とジェローム・パウエル議長に対し、インフレや金利を巡る対応について最近の仕事ぶりを批判したのだ。

「ジェイ・パウエルとFRBは自ら作り出したインフレの問題を食い止められなかった。私がそれをやろう」。トランプ氏は29日、自身のソーシャルメディアプラットフォーム、トゥルース・ソーシャルへの投稿でこう述べた。

 トランプ氏がこのコメントをしたのは、パウエル議長が記者会見を終えて約1時間後だった。パウエル氏は会見で、FRBが利下げに関する新たな様子見姿勢に満足していることを示唆した。FRBは過去2年間でインフレが大幅に鈍化したことを受け、2024年12月の会合まで3回連続で利下げを行い、合計1ポイント引き下げていた。

 記者会見でパウエル氏は、トランプ氏との7年前の初対決で磨きをかけた頭を低くして攻撃をかわす姿勢をほぼ貫いた。トランプ氏との衝突を引き起こしかねない質問は巧みにはぐらかした。

 パウエル氏は29日に「大統領の発言に対する反応やコメントをすることは一切ない。私がそうするのは適切でない」と語った。

 パウエル氏はFRBが経済データの偏りのない分析に基づいて金利を決めているとした上で、「常にわれわれのやっていることだ。人々はそれを確信しているはずだ」と述べた。

 トランプ氏は2018年、パウエル氏を任期4年のFRB議長に指名した。ジョー・バイデン前大統領は2022年に同氏を再任し、2期目が始まった。

 トランプ氏の1期目には、パウエル氏がFRBの判断による金利設定の自主性――いわゆる「独立性」――を守るため、議会で協力者を増やし、経済を語ることに徹するなどして防御線を張った。また大統領の上級顧問たちに対し、自らを解任する試みには断固戦う姿勢を明確にした。将来のFRB議長が政策の不一致を理由に解任される恐れなしに職務を遂行できるようにするには、それが不可欠だと考えたからだ。