ウクライナ「NATO加盟」の選択肢しかないが、欧州の“覚悟”まだ固まらずPhoto:NurPhoto/gettyimages

欧州諸国は、ウクライナの停戦交渉が頭越しに行われることを警戒するとともに、ロシアの再侵攻を防ぐためにウクライナへの停戦監視軍の派遣・駐在などを検討し、トランプ米大統領が求める国防費増強などにも応じる構えだ。慶応大学・鶴岡路人准教授のインタビューの後編では、ウクライナ戦争の3年間を経て、欧州の思考がどう変わったのかを聞いた。鶴岡准教授は、欧州の安全保障を踏まえれば、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟以外の「選択肢はない」と指摘した上で、ウクライナをNATOに迎え入れる「覚悟」がまだ固まっていないとみる。さらに、欧州が学んだ「安全保障を他国任せにしてはいけない」という教訓は、日本にとっても人ごとではないと警鐘を鳴らす。(聞き手/ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)

>>前編『ウクライナ停戦の現実解は「欧州停戦監視軍の派遣」、米ロ交渉に危機感抱く欧州の本気』から読む

究極のロシアの再侵攻回避策が
ウクライナのNATO加盟なのは明らか

――ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟の可能性はどう考えますか。

 ロシアの再侵攻阻止と欧州の安全保障体制の全体としての安定を考えれば、長期的にはウクライナのNATO加盟以外の選択肢はないと思います。このことは無論、欧州の人々は皆分かっています。もちろん、NATO自体が機能し続けることが全ての前提ですが。

 ロシアの再侵攻を防ぐための、ウクライナに対する「安全の保証 」が議論されていますが、究極のものがNATO加盟であることはわかっていますが、それ以外のものを探そうとしているのです。

 加盟はロシアがのまないだろうとか、ロシアを刺激してさらなる行動を招くとか、ハンガリーが反対するとか、他国のせいにしています。結局のところ、多くの欧州人が、ウクライナを自分たちの一部、仲間として迎え、コミットする覚悟をまだ十分には持てていないということだと思います。