
停戦交渉合意受け米ロ高官協議始まる
ウクライナと欧州は「蚊帳の外」
ウクライナにとっての平和は、ウクライナのロシア化をもくろむプーチン大統領が倒され、同大統領の考えを共有するロシア国内の勢力が実権を失うまで、訪れることはない。一方で、一時的に戦闘を止める停戦の可能性は、以前より高くなっているように見える。
2月24日に4年目を迎えたロシアのウクライナ侵攻は、トランプ大統領とプーチン大統領がウクライナにおける戦争を終結させるための交渉を開始することで合意し、停戦に向けて動き出した。
3年間の戦闘で、ウクライナ、ロシアともに消耗し、プーチン大統領も、一度、戦闘を終わらせたいと考えていただろう。プーチン大統領が予想した以上の死傷者がロシア軍に出ており、経済にもひずみが生じているからだ。
一方のウクライナも、開戦当初から欧米の軍事支援が限定的なこともあり、軍の損耗は大きく、多くの都市が破壊され国民が疲弊している。
とはいえ、停戦に向けた動きが加速した最大の要因はトランプ米大統領の登場だろう。プーチン大統領との電話協議での合意を受けて、18日には、米ロ外相などがサウジアラビアで停戦交渉開始の条件などを協議した。しかし、この会談にウクライナは招かれていない。
ウクライナにとっての問題は、トランプ大統領が、自らが戦争を終結させたというレガシーを得るために、米ロ、さらには中国との間で互いの利害に合った“停戦”を目指す大国間のゲームをプレーしようとしていることだ。