米実業家イーロン・マスク氏は政府にどれほどの影響力を持っているのか――同氏の率いる米電気自動車(EV)大手テスラが情報開示をめぐる問題で判断を迫られるほどには。これは以前なら、米国の民間企業が想像もしなかったような問題だ。目の前にある疑問は、米国の会計基準「GAAP(一般に認められた会計原則)」の目的からして、テスラと政府は「関連当事者」にあたるのかということだ。意外に思えるかもしれないが、その答えはイエスのようだ。マスク氏はトランプ政権の政府効率化省(DOGE)で実質的リーダーとして、米政府の広大な部分に対する途方もない権力を急速に手中に収めている。政府機関の中には丸ごと一掃されるのに近かったり、廃止の標的になったりするところがあり、職員らの大量解雇も指示されている。マスク氏は正式には「特別政府職員」として勤務し、一方で自身が最高経営責任者(CEO)を務め、筆頭株主であり、会社の顔でもある「テスラ」と同義に捉えられている。