エヌビディア、AI業界の変化に適応Photo:Bloomberg/gettyimages

 米半導体大手エヌビディアは昨年初め、増大する脅威に直面していた。人工知能(AI)の世界で進む変化は、競争が激化することを意味していた。

 AIツールの普及が進み、人々が発する無数の問いに対応するには基盤となるモデルの運用がモデルの訓練よりも重要になっていた。モデルの訓練という計算集約型の作業はエヌビディアをAIブームの頂点に押し上げた大きな要因だった。業界におけるこうした変化によって、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの競合他社にはエヌビディアから市場シェアを奪う機会が生まれるとの見方が広がった。

 AIを巡ってはモデルの作成から運用(業界では「推論」と呼ばれるプロセス)へのシフトが起きていたものの、エヌビディアは変化に適応し、AI競争の最前線に立ち続けるための準備を進めていた。

 エヌビディアの最新AIチップ「ブラックウェル」はサイズが大きく、より多くのメモリーを搭載し、演算では低精度の数値を使用する。また、超高速ネットワークで大量に連結することができ、調査会社セミアナリシスの創設者ディラン・パテル氏は、推論分野で「画期的な向上」をもたらしたと話す。

「ブラックウェルでのエヌビディアのパフォーマンス向上は、訓練よりも推論においてはるかに大きい」とパテル氏は話した。

 業界の変化への適応におけるエヌビディアの成功は、26日に発表した2024年11月-25年1月期決算に反映された面がある。売上高と利益はアナリスト予想を上回り、25年2-4月期について同社は楽観的な見通しを示した。