
「やっとゴールが見えた」と感じるはずの定年退職が、なぜか不安でいっぱい。長年の会社生活から解放されたあとの「自由」が、時に重荷に感じるのはなぜでしょうか。「やりたいことがなくなったら?」「毎日ダラけてしまうのでは」「幸せを感じられるだろうか」……と、定年後の生活に不安を持つ方は多いと思います。私は2021年に早期退職したのですが、確かにその前後で生活や考え方が大きく変わりました。今回は、退職後の過ごし方や時間の大切さ、幸せを取り上げ、価値観がどのように変化したか、Q&A形式で考えていこうと思います。(作家・講演家 寺澤伸洋)
定年退職後に、やりたいことが無くなったらどうする?
定年退職したら時間がたっぷりあるため、やりたいことをやり尽くしてしまうような気がします。もし、やりたいことが無くなったらどうしますか。
この質問をいただくまで、やりたいことが無くなるなんて考えたことがありませんでした。皆、自由が欲しい一方で、自由になったらどうやって時間を使えばいいのか分からなくなるようです。その気持ち、分かります。私も会社員時代の大型連休は、休みを持て余していました。
日頃から「ここに行きたいな」とか「これをしてみたいな」と考えておかないと、毎日忙しい状態から急に連休を手にしても、別に何もすることなく時間が過ぎ去ってしまいますよね。
私はやりたいことが無いなと感じたら、とにかく人に会いまくります。人から新たな趣味や可能性に気付かせてもらうことは、本当に多いです。自分だけの視点から物事を見ていたら気付けないことは、世の中にたくさんあるのです。
先日も友人と話していたときに、「そもそも趣味って、退職した人のためにあるんですよ」と言われてハッとしました。
たしかに世の中にはゴルフや麻雀、ビリヤードにダーツ、ワインをたしなんだり、日本中のお城を巡ったり、お菓子作りや手芸をしてみたり、スキューバダイビングやアウトドアBBQもあるしと、数えきれないほどたくさんの趣味があります。
今の趣味をやりつくしたと感じたら、新しい趣味を見つければいいだけ。やったことが無いことをやってみて「楽しい!」と感じたら、それを新しい趣味として続ければいいですし、「イマイチだな」と感じたら別の趣味にチャレンジすればいいだけなのです。
そう考えると、退職後の生活を充実させるために最も大切なのは「何にでもチャレンジする好奇心」なんでしょうね。