定年退職後に「幸せな人」が、神社で神様にお願いしている“たった一つのこと”写真はイメージです Photo:PIXTA

定年退職後に、過去に自分が勤めていた企業名や役職、仕事で成した功績に固執するあまり、まわりから疎まれたり、嫌われたりしてしまう方がいます。それは、退職後も幸せのベースを他人との比較に求めているから。他人事のように書いていますが、実は私もその一人でした。会社員の立場で追っていた幸せは、長続きしない刹那的な幸せだった。退職後、そのことに気づいたのです。今回は、会社を辞めた後に気づいた「退職後の幸せ」のあり方についてお話します。(作家・講演家 寺澤伸洋)

会社員は「競争」という名の正義に縛られている

 私は会社員の間、ずっと競争社会で生きてきました。誰かと競い合い、勝って結果を出すことで幸せを感じてきました。

・どうすれば、周りより社内評価が良くなるだろうか?
・早く昇進・昇格したい
・誰よりも売上を上げたい
・競合他社とのシェア争いに負けるわけにはいかない

 人生には、あらゆるステージにおいて、競い合う要素が多く存在します。特に会社という枠組みのなかで、私たちはその競争の波にのまれてしまいます。その枠組みでは、昇進・昇格や昇給、誰にも負けない成果を上げることはまぎれもない正義であり、それを目指さない者は悪でした。誰もが脅迫観念に襲われたかのようにこうした正義を目指し、疲弊し、それでもそこから抜け出せないまま日々が過ぎていきます。

 いや、抜け出せないのではなく、抜け出そうという考えが頭に浮かぶことがないのかもしれません。今の仕事が嫌で「会社から抜け出したい」と思うことはあっても、「競争社会から抜け出したい」と思っている人は皆無のように思います。

「競争のない世界」、そんなものが存在することすら知りませんでした。

 ですが私は、会社を辞めることで、ようやく「競争をしないことで得られる幸せ」に気づいたのです。