「投資の神様」と呼ばれ、94歳となった現在もその一挙手一投足に世界中からの注目が集まるウォーレン・バフェット。「個人資産総額23兆円」「60年以上にわたり年平均リターン20%」「景気や感情に左右されない投資スタイル」――そんな〈生きる伝説〉を40年以上にわたって研究し続け、バフェットの「12の投資原則」「ポートフォリオ戦略」「お金に対する考え方」を誰にでもわかりやすく解説し、投資戦略や資産形成に実践できるようにまとめた一冊が『株で億兆を築くバフェットの法則』だ。本記事では、その一部を抜粋・編集し、お届けする。

株=事業を所有すること
ウォーレン・バフェットの原則の中で最も際立った特徴は、株式を所有することは、一枚の紙切れではなく、事業を所有することだと明確に理解している点である。
企業の将来性や経営者、事業の収益性を理解しないで株式を買うことは、良心に反するとバフェットは言う。
投資家は企業のオーナーとして行動することもできるし、ゲームの参加者として証券の売買をするなど、企業の本質的価値と無関係に関与することもできる。
単に紙切れを所有していると考える株主は、企業の財務諸表とは無縁の存在だ。財務諸表などより、市場で刻々と変化する株価が株式の価値を正確に反映していると考えているようだ。
彼らはトランプで遊ぶように株式を売買する。バフェットの目には実に愚かなことに映る。
バフェットにとって、企業の所有と一株の株式の所有とには何の違いもない。
バフェットが1956年にバフェット・パートナーシップを始めたとき、株式を買い、そののちに企業を丸ごと買収した。
1969年にバークシャー・ハザウェイの経営権を完全に掌握したとき、企業を完全に買収することから始めたが、すぐに一部株式の保有もするようになった。
彼の頭の中では、企業を丸ごと所有することと一部の株式を所有することはまったく同じことなのだ。何の違いもない。
そして、その考え方こそ、ウォーレン・バフェットの投資家としての優位性を形成しているのだ。
企業所有もすれば、株式保有もするという経験がウォーレン・バフェットの目覚ましい成功にどれだけの力を与えているかを、多くの人々は理解していない。
企業全体を所有する立場にありながら、同時に株式市場での投資も行う投資家の数は限られているだろう。
しかし、企業全体を所有していない投資家が、株式投資において、事業のオーナーとして考え、行動することを妨げるものは何もない。
(本稿は『株で億兆を築くバフェットの法則』を抜粋、再構成したものです)