「子どもが感情的になり、言うことを聞かない」「他の子と比べて、うちの子が遅れていないか心配」「褒美をつい与えてしまう」など、小学校6年間は、良くも悪くも親の影響を受ける最も多感な時期。自分で考えて学ぶ子は、どのような生活環境にあるのか。「指導実績」×「心理学」×「ベネッセのデータ」でわかった最高の教育を「声かけ」というシンプルな方法でお伝えします。誰でも一度は感じたことのある子育ての悩みを、簡単に解決できるのは「声かけ」を変えることです。『自分で考えて学ぶ子に育つ子育ての正解』より、「ほめ方」「しかり方」よりももっと大事な「声かけ」で、「子育てあるある」に対応したノウハウをお伝えします。

指導実績×心理学×データでわかった、自分で考えて学ぶ子になるために親ができることPhoto: Adobe Stock

3つの強みで自分で考えて学ぶ子に育つ!

「やってみなきゃわからないから、まずやってみよう!」
「うまくいかなかったけれど、もう一回挑戦してみよう!」
「なんでこうなるんだろう? もっと知りたい! 調べてみよう」

 このような心持ちの子が「自分で考えて学ぶ子」になります。

 ただ、理想と現実の壁にぶつかり、かつては、子育てに悩む親でした。私は二児の父ですが、かれこれ10年前、小学生になった我が子ができないことがあると、「自分が子どもの頃できたことを押し付けてしまう」「できないと叱ってしまう」「誰かと比較して注意してしまう」など、まさに、ダメ親でした。

 私が変わり、教育方針も変わり、教育スペシャリストとして多方面で活動するようになったきっかけは、3つあります。

 最初は、教師をしながら学んだ大学院での「心理学」です。ここで私は、我が子が思うようにいかない原因は、「自分」にあることに気づきました。それからは、「声かけ」や「接し方」を徹底的に学びました。

 次に、小学校の担任や、大学でラクロスの監督をしている中で、「あの子はしっかりしているな」「自分で考えて判断しているな」と思う、自分で考えて学ぶ子の親御さんには共通点があることに気づきます。「必要以上にあえて教えない」「周りと比べすぎない」です。我が子にも実践していく中で、子どもとの関係がどんどん変わっていきました。

 そして、何よりも大きいのが、ベネッセ教育総合研究所のデータです。研究所では2015年から小学1年生から高校3年生の子どもとその保護者に対して、毎年継続して調査を実施しています。これにより、12学年にわたる子どもの生活や学び、保護者の子育ての実態などの「現在」の様子がわかりました。

 また、経年比較により、子どもと保護者の「時代変化」を見ることもできます。

 現在、私は小学校の教員としての生活を20年近く続けたのち、ベネッセ教育総合研究所に入り、全国の先生や親御さんに、最新データを使って研修や講演をしています。今まで担任としての親御さんとの面談や、研修・講演を通して、約1万5000人にアドバイスしてきました。

 本書は、保護者や先生などから聞いた「誰でも一度は感じたことがある子育ての悩み」を「声かけ」という手法で解決する本です。自分で考えて学ぶ子に育てるために、

 1.大学院で学んだ心理学
 2.今までお会いした保護者から学んだこと
 3.ベネッセ教育総合研究所のデータ

 からわかった「声かけの正解」をお伝えします。

 生まれつきの遺伝などは関係なく、親の「声かけ」で、誰もが自分で考えて学ぶ子に育つ。「声かけ」を変えれば、どの家庭もうまくいきます。

 そして、この「声かけ」は、難しくありません。今まで知らなかっただけで、誰でもできます。

 うまくできないのは知識がないからです。今うまくいっていない方でも、いつも声を荒らげてしまう方でも、本書の「声かけ」を真似して習慣化すれば、「自分で考えて学ぶ子」に育つのです

(本原稿は、『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より一部抜粋、再編集したものです)