新築住宅の7割に不具合!最新データで判明した「大手なら安心」の幻想写真はイメージです Photo:PIXTA

最新データで読み解く
新築住宅の品質リスク

 マイホームを持つことは多くの人にとって人生最大のイベントであり、まさに夢を形にするプロセスだ。その過程で、間取り、デザイン、使い勝手、住み心地といった目に見える要素に注意が集中してしまうケースも少なくない。しかし、「マイホーム」の夢を実現するためには忘れてはならない重要なポイントがある。それが、完成後には見えなくなってしまう「隠れた部分」の品質だ。一方で、新築住宅の建築現場では、大小問わず多くの「隠れた」施工トラブルがあるのをご存じだろうか。

 では実際、新築住宅の工事現場では、どれくらいの割合で施工トラブルが発生しているのだろうか。さくら事務所が蓄積してきた、新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)の2024年度版データから読み解いていこう。検査を行った(1)現場全体、(2)大手ハウスメーカー、(3)準大手ハウスメーカー(全国展開しているものの、大手ほどではない規模の会社)、(4)それ以外(工務店や地域のハウスメーカー)の区分で、主要な5つの検査項目ごとに、どれくらいの割合で不具合が指摘されたのかを明らかにしていく。

【5つの検査項目】
1.配筋検査 基礎の鉄筋コンクリートの骨組みとなる、鉄筋の配置や数量などを確認。(基礎の強度に関わる)
2.型枠検査 基礎のコンクリートを流し込む型枠が、正しく設置されているかなど(基礎の形状に影響)
3.構造検査 柱や梁など、建物の骨組みが図面通りに配置・接合されているかなど(耐震性に関わる)
4.防水検査 屋根や外壁の防水処理が適切かなど(雨漏りなどのチェック)
5.断熱検査 壁、天井、床などの断熱材が、隙間なく適切に施工されているかなど(省エネ性能に影響)

 データを見ると、新築住宅の工事現場で多くの不具合が指摘されていることがわかる。中でも耐震性に関わる構造検査では、全体の68.3%、7割近くの不具合が指摘されているのだ。構造部分の不具合は、地震発生時の倒壊リスクを高めるだけでなく、建物の耐久性にも大きく影響する。つまりこの数値は、新築住宅であっても、決して安心できない現実を示していると言えるだろう。

構造部分の不具合の事例:金物の固定忘れ構造部分の不具合の事例:金物の固定忘れ

 さらに、雨漏りを防ぐ防水検査でも63.6%、省エネ性能に関わる断熱検査でも60.5%と半数以上の現場で不具合が指摘されている。こういった不具合は、住宅の寿命を縮めたり、光熱費の増加を招いたりするなど、住み始めてからの生活に大きな影響を与える可能性が考えられる。