「驚く」はいますぐ実践できる聞き上手の手法
驚くことは誰もがいますぐ実践できる“聞き上手になる方法”です。なぜなら、頭をひねって何か気の利いたコメントを発する必要はなく、表情の作り方だけでもやれることだからです。
試しに、相手の話に合わせて驚いた表情を作るように心がけてください。目を見開いたり、眉を大きく上げたり、口元で「おおー」という感情を表現して軽く顔を意識してください。あるいは、プライベートなお酒の席であれば、少し大げさに仰け反って見せたりするのもいいでしょう。
対照的に、傾聴する姿勢は決して相手をモチベートするものではありません。顔を突き合わせた会話では、黙って次の言葉を待つよりも驚いた表情を返すほうが、相手が次第にノッてくるのがわかるはずです。
数年前に私が地元の大学で教鞭をとっていたときも、学生の意見に対して、「なるほど、そういう考え方もあるのか」とか「へえ、それは面白い視点だなあ」などと驚きを伴った表情でリアクションをすると学生側の積極性が増し、授業が大いに盛り上がったことがありました。そのうえ、私自身は授業をするのがとても楽になったのです。
言葉の達者な人は、さらに相手の意見やスタンスに対して「褒め」の要素を加えることで、コミュニケーションの質をいっそう上げることができるのでしょう。ただ、褒めるためには、相手に対する洞察が求められて、技術的なものも必要です。それに比べて、「驚く」ことは、いかにシンプルで手軽なことか。「驚く力」は、今後の人生をより豊かに生きていくためのコツの一つになるかもしれません。
皆さんもさっそく今日から、「驚く」表情を意識して、聞き上手を目指してみてください。
(構成/フリーライター 友清 哲)