アメリカでベストセラーとなり、多くの絶賛の声を集めた『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』がついに日本に上陸した。著者のブラッド・スタルバーグはマッキンゼー出身で、ウェルビーイング研究の第一人者。この本が指摘するのは、人生を消耗させる「思考の癖」だ。本稿では本書の内容をベースに、「変化に適応できる人の特徴」と「適応力の高め方」を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「今のままでは生き残れない」変化についていけない人の致命的な共通点Photo: Adobe Stock

 毎日の生活の中で、「こんなはずじゃなかった」と思うことはないだろうか。

 たとえば、新しい仕事に挑戦したものの、最初は何をやってもうまくいかず、自信を失いそうになる。職場のルールが変わって、これまでのやり方が通用しなくなった。次々と新しいトレンドが生まれ、ついていくのが大変だと感じることもあるかもしれない。

 現代社会は、予測不能な変化に満ちている。テクノロジーの進化、経済の変動、価値観の変化――こうした変化の波に乗れる人もいれば、取り残されてしまう人もいる。その違いはどこにあるのだろうか。

変化に適応できる人の特徴

 適応力のある人の最大の特徴は、自分のアイデンティティに固執しないことだ。

 全米ベストセラーとなった話題作『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』では、次のように述べられている。

われわれが問題を抱えるのは、強いアイデンティティが一つの仕事や人、概念にこだわり、それに執着する時だ。自分の考え方に執着する時も同様だ。

 

──『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より

 自分の考え方や価値観に固執すると、環境の変化に対応しにくくなる。

 変化に強い人は、自分の信念や考えを柔軟に調整できる能力を持っている。彼らは「変わることは成長の一部である」と理解し、積極的に新しい視点を取り入れる。

 また、適応力の高い人は、状況に応じて自分の行動や考え方を変えるスキルを持っている。これは、自分自身の「自我」をコントロールする力と深く関係している。

一番重要なスキルは、現在の自我の発現が自分の役に立つ時はそれを認識し、役に立たない時はそれを捨てることを学ぶことだ。

 

──『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より

 適応力のある人は、「自分とはこういう人間だ」というこだわりが薄い。自分自身を客観的に見つめ、必要に応じて「今の自分」をアップデートすることができる。

 この能力が、変化の多い時代を生き抜くための鍵となる。

自分を再構築することを恐れない

幸せで健康で高いパフォーマンスを維持している個人や組織は、このパターンを経験する。自分自身を何度も再構築することで、強くて耐久性のあるアイデンティティを維持しているのだ。

 

──『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より

 たとえば、スポーツ選手が長年培ってきたプレースタイルを時代の流れに合わせて変えるように、私たちも自分のスキルや考え方を見直すことが求められる。

 キャリアにおいても、今の仕事がうまくいかないと感じたら、新しいスキルを学び直したり、異なる業界に挑戦する勇気を持つことが重要だ。

 パフォーマンスが高い個人や組織は、こうした変化に適応し、何度も自身を再構築するプロセスを経ている。

※本稿は『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より一部を抜粋・編集して構成しました。