旧大蔵省の事務次官に
上り詰めた5人の卒業生

 東京都新宿区にある。都立高校で、2番目に古い校歴を持つ。伝統的に硬派タイプの卒業生が多く、「国家のために…」という意識が強い。

日本郵政社長の増田寛也日本郵政社長の増田寛也 Photo:SANKEI

 東京・霞が関の官僚の中で頂点に立つ大蔵事務次官(現財務事務次官)に、5人の卒業生が就いていることが象徴的だ。河野一之(戸山高校の前身である旧制東京府立四中卒)、平沢貞昭、小粥正巳(戸山高校の前身である東京都立第四中卒)、小川是、薄井信明だ。旧制私立開成中・現開成高校(東京都荒川区)卒の5人と並び、旧制東京府立一中・現日比谷高校(東京都千代田区)卒の7人に次ぐ数だ。

 5人のうち、平沢と小粥は1989年6月~91年6月の間、2代続けて大蔵事務次官に就任している。5人とも東京大卒だが、そのうち4人は法学部卒で、薄井は経済学部出身だ。

 退官後に河野は太陽神戸銀行会長を、平沢と小川は横浜銀行頭取を、小粥は日本政策投資銀行総裁を、薄井は国民生活金融公庫総裁を務めた。

 薄井が2000年6月に大蔵事務次官を退任した以降、ざっと25年たつが、戸山高校の卒業生で大蔵・財務事務次官に就いた人物は皆無だ。また都立日比谷高校出身者が大蔵事務次官に就いたケースもない。

 00年以降の大蔵・財務事務次官の出身大学は、ほとんどが東大法学部卒だが、出身高校について見ると地方の名門高校出身者に占められるようになった。あるいは例外的に、全国的には無名の高校(例えば07年7月~08年7月に財務事務次官を務めた津田広喜は、北海道立北海道天塩高校卒)の場合もある。