米経済支える消費者、もう限界か景気が悪化して消費の急激な落ち込みを招くリスクが意識されている
PHOTO: JOHN TAGGART FOR WSJ

 米国の消費者とクレジットカードは米経済が幾多の混乱期を乗り切る支えとなってきた。そうした役割はリセッション(景気後退)の懸念が再浮上している現在、限界に達しているのではないかと不安視する声も聞かれる。

 米株式相場の最近の急落は広範囲に及ぶ。下げは一部のセクターで特にきつく、その代表は消費者向け金融サービス業者だ。融資やクレジットカードを手がけるアメリカン・エキスプレス、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ、シンクロニー・ファイナンシャルは10日の取引で下落率が4%を超えた。この4社は年初から平均で約12%値下がりしている。S&P500種指数は4.5%下落した。

 景気に対する懸念が消費者向け金融サービス業者の株価を直撃するのは今回が初めてではない。支払いの遅延や銀行による消費者ローン償却額の急増を受けてこうした企業の株価が急落する場面は、ここ数年の間にも見られた。現在大きな懸念となっているのは、債務の返済が滞れば消費者はこれまでのような支出ができなくなり、経済の重要な柱が失われかねないことだ。

 ここ数年のケースは誤ったシグナルであることが多かった。延滞率の上昇は特定の借り手に集中する傾向があり、2021年と22年の場合は多額の新規債務を抱えた人々がそうした一群だった。当時、多くの消費者は通常よりも多くの額を借り入れることができた。新型コロナウイルスの流行に伴い、景気刺激策の給付金で潤った上、ロックダウン(都市封鎖)の影響で貯蓄が膨らんだためだ。多くの銀行はやがてクレジットカードの条件を厳格化した。