ディープシークCEO、投資受け入れに慎重姿勢Photo:SOPA Images/gettyimages

 脚光を浴びている中国の人工知能(AI)新興企業ディープシークの創業者、梁文鋒最高経営責任者(CEO)は、自社のプログラムで手っ取り早く利益を得ようとは考えていない。同社に関心を寄せる投資家に対しては、梁氏の名を世界に知らしめた科学プロジェクトの理念に徹したいと伝えている。

 ディープシークのチャットボット(自動会話プログラム)は、何百万もの利用者からアクセスが殺到して不具合を起こすことが頻繁にある。また、各国当局はデータセキュリティー上の懸念からその使用を制限し、米国は政府機関の端末での使用禁止などを検討している。ディープシークが無料で公開しているコードを自社のビジネスに利用するインターネット企業もある。

 それでも梁氏は、急いで投資を募るつもりはないと周囲に語っている。外部の人間がディープシークの意思決定に干渉することを懸念していると、事情に詳しい関係者が明らかにした。また、中央政府とつながりを持てば自社製品が国外で敬遠されかねないと考え、政府系企業からの出資受け入れにも慎重な姿勢だという。

 梁氏は今、情熱を傾けたプロジェクトが日の目を見た時に多くのテック起業家が直面したのと同じ岐路に立っている。

 梁氏は中国の著名経営者らとともに、2月17日に行われた習近平国家主席との会談に招待された。梁氏の成功は愛国心の鼓舞に一役買った。国有の中国銀行はディープシークに低金利での融資を申し出たと関係者は明かす。

 関係筋によると、中国テック大手のテンセントホールディングスやアリババグループの幹部は最近、梁氏と面会して協業について話し合った。