トランプ政権が生んだ「米・ロシア」対「欧・ウクライナ」という新たな対立軸の結末【佐藤優】トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は2月28日の首脳会談で衝突。激しい口論となり、予定していたウクライナ国内のレアアースを含む鉱物資源の共同開発に関する協定への署名もないまま、ゼレンスキー大統領は米ホワイトハウスを後にした Photo:AFP=JIJI

ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ米大統領が対面した2月28日の会談は、激しい口論が繰り広げられ、物別れに終わりました。トランプ大統領が就任して、ひと月余り。国際情勢は大きく変わりつつあります。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)

極秘で行われた電話会談

 ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ米大統領が対面した2月28日の会談は、激しい口論が繰り広げられ、物別れに終わりました。

 トランプ氏は会談より前の2月12日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談しました。翌日の「朝日新聞デジタル」は、こう報じています。

〈トランプ氏の2期目の就任後、プーチン氏との直接協議が公になるのは初めて。バイデン前米大統領は、ロシア側が一方的に始めた侵攻を止めない限り、ロシアとの協議には応じない姿勢を示していたため、米国の対応の大きな転換となる。(中略)

 プーチン氏は、トランプ氏をモスクワに招待したほか、米政府高官らとロシアで協議する用意があると表明したという〉

 この会談を受けて、米ロの高官協議が2月18日にサウジアラビアの首都リヤドで開かれ、停戦の実現に向けて高官級の交渉チームを設けることで合意しました。

 実は、トランプ、プーチン両首脳の電話会談は、2月1日にも極秘で行われていました。筆者がクレムリン(ロシア大統領府)筋から得た情報では、こんな会話が交わされたようです。