
トランプ・ゼレンスキー 会談から
日本人が学ぶべき教訓
「あなたにはカードがない。あなたは簡単に負ける。ウクライナの人たちは死んでいく」
「やめてほしい」
「停戦はいやだと言うのか」
「保障込みの停戦が必要だと言っている」(3月2日 NHK)
アメリカ大統領と戦時下の国のリーダーが公衆の面前で口論して物別れ。前代未聞の「トランプ・ゼレンスキー交渉決裂」を経て、メディアは盛んにゼレンスキー大統領を「英雄」と持ち上げている。
しかし、そんな「大国に屈しない信念のリーダー」がここにきてあっさり「譲歩」の姿勢を見せてきた。
3月4日の施政方針演説でトランプ大統領が、ゼレンスキー大統領から手紙が届いたことを公表。そこにはできるだけ早く交渉のテーブルに着く用意があるということや、アメリカが求めている鉱物資源の共同開発を巡る合意にもいつでも署名をすると記されていたという。
もちろん、ああいう人なので「ディール」(取引)を優位に進めるために、この話もかなり盛られている可能性もゼロではない。ただ、ゼレンスキー大統領がトランプ氏にすり寄らなくてはいけないほど追いつめられているのも事実だ。ウクライナでは長引く戦争に疲弊して、国を脱出する人や「徴兵逃れ」をする若者が後を立たず、「戦争継続」さえ困難になっているからだ。
兵士不足「戦闘続けられぬ」 ウクライナ前線の悲鳴 敵の人海戦術で消耗/徴兵逃れ600万人(2月20日 日本経済新聞)
口論中にトランプ氏が言った「あなたは簡単に負ける。ウクライナの人たちは死んでいく」という言葉が現実味を帯びていくなかで、一度はカッと頭に血がのぼったがすぐに冷静になって、トランプ大統領との「ディール」に乗るしか道がないと悟ったのかもしれない。
「ふーん、そんなもんかねえ」とほとんどの日本人は今回のニュースをどこか他人事のように感じるだろうが、実は今回の「交渉決裂騒動」から我々が学ぶべきことは多い。